プロセス開発、合理化検討に関連した備忘録的な情報を定期的に掲載いたします。
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物性
- 気液平衡データの熱力学的健全性(2405)PDFファイル(2.66MB)
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概要
蒸気液平衡などの相平衡データは、蒸留塔や抽出塔などの分離装置を合理的に設計するために重要なデータである。しかしながら、気液平衡データの測定は分縮や飛沫同伴、還流液のフラッシングなどの影響により誤差を伴うことがある。気液平衡データに関する誤差の程度は、熱力学の原理に基づいて評価することが可能であり、これを熱力学的健全性の評価と呼ぶ。ここでは、熱力学的健全性の評価方法としてよく用いられている手法を紹介したい。(田口)
- 蒸気圧式を用いた蒸発潜熱の推算例(2304)PDFファイル(1.83MB)
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概要
蒸発潜熱の温度依存性を精度よく表現するには、蒸発潜熱の実測データを用いたParameter 回帰が必要となるが、データの入手に時間を要する、または測定が困難等の理由で直ぐに得られないこともある。ここでは、Clapeyron式に蒸気圧式を直接代入して蒸発潜熱を推算する方法を紹介したい。(田口)
- 蒸発潜熱の推算(Watsonの式)(2208)PDFファイル(1.11MB)
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概要
プロセス設計やプラントデータの解析を行う上で物性データは極めて重要であるが、特に飽和蒸気圧や蒸発潜熱は重要性が高い。純物質の蒸発潜熱はClapeyronの式等を用いて推算する方法、Reidらの相関法やWatsonの式、DIPPRの式など様々な式が提唱されている。ここでは、化学工学分野でよく利用されているWatsonの式について論文の情報(1931年、1943年)を中心に紹介したい。(田口)
- 気体の溶解度の表現について(2107)PDFファイル(936KB)
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概要
液体に対する気体の溶解度は温度だけでなく操作圧力にも依存するため、溶解度には様々な表し方がある。また、条件に応じた溶解度の実測値を相関するために、ヘンリー定数のようなパラメータとして表現されることもあり、計算目的に応じた単位換算などが必要となるため間違いが生じやすい。ここでは、典型的な系として、酸素-水系についての溶解度の表わし方と単位の換算について紹介する。(熊谷)
- 気体定数とSI単位(2104)PDFファイル(993KB)
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概要
気体定数は物質のPVT関係を表す状態方程式だけでなく、反応速度定数や平衡定数、蒸気圧等の温度依存性を表す関係式にも使用されており、非常に重要な物理定数である。このように重要な定数であるにも関わらず、これまでは単位系や定義の見直し等に伴い若干の値の変更が度々生じていた。しかし、世界で広く使用されているSI単位系について改訂が実施され、2019年に公表されたその規定に基づくことで数値が定まることとなった。本報では気体定数の数値の新たな定義をSI単位系の改訂と併せて紹介する。(河合)
- 純液体の表面張力(2103)PDFファイル(707KB)
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概要
表面張力や界面張力は、濡れ性、接着、摩擦・摩耗、洗浄など多くの分野において重要で、化学工学分野では吸収や抽出操作、蒸発、沸騰・凝縮などの伝熱操作に重要な役割をなしている。表面張力は液体に溶けている、或いは界面に吸着した微量の物質によって著しく左右される性質があるため、定量的な取扱いが困難な物性である。ここでは、純物質を例にとり液体の表面張力について、簡易な概算法を紹介すると共に、実測データとの比較・考察を行いたい。(田口)
- 標準沸点における液体熱伝導度の概算(2010)PDFファイル(845KB)
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概要
熱伝導度は熱輸送を検討する際の重要な基本物性であり、伝熱計算には欠かせない。金属などの固体と異なり、流体の熱伝導度は測定が困難であることが知られている。ここでは、沸点における液体の熱伝導度について、簡易な実験式を紹介すると共に、実測データとの比較・考察を行いたい。(田口)
- 液体密度の概算(2005)PDFファイル(681KB)
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概要
装置設計を検討する際、密度は装置の大きさに影響を及ぼすため重要な物性となる。気体の密度については、状態方程式を利用することで比較的高い精度で計算することが可能である。状態方程式を液体に適用する計算方法もあるが、ここでは液体の密度について規則性を確認すると共に、限られたデータで概算する方法を紹介したい。(田口)
- 共沸温度と共沸組成の関係(2001)PDFファイル(935KB)
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概要
共沸現象は、反応促進のための共沸脱水や省エネルギー化のための共沸蒸留など広く利用されている。これらの現象を精度よくモデル化するためには、共沸データの実測値が必要となる。実測データが測定されていない系については、共沸があると仮定すれば原子団(グループ)寄与法によりある程度共沸点の温度・組成を推定できるが、得られた結果に対する妥当性の判断が難しい場合もある。ここでは、共沸温度と共沸組成の関係を紹介したい。(田口)
- 気体溶解度の温度依存性(1909)PDFファイル(836KB)
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概要
蒸留塔のように気液の相変化を伴う単位操作では、気液平衡が重要である。これに対して、吸収塔では気体の液体への溶解度が重要となる。気体の液体への溶解度は、気液平衡と区別して溶解平衡とも呼ばれている。溶解平衡は気液平衡と同様に成分間の化学ポテンシャルが等しいことを利用して計算することが可能であるが、溶質成分が臨界温度を超えている系の場合、溶質成分の蒸気圧が外挿領域になるため取り扱いが異なる。
ヒント集「ヘンリー定数の推算(1401)」において、ヘンリー定数を無限希釈活量係数から推算する方法を紹介したが、ここではヘンリー定数の温度依存性について考察したい。(田口) - ポリマーの溶媒への溶解性と溶解度パラメータ(1808)PDFファイル(1.93MB)
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概要
ポリマーの製造工程は重合と精製からなっていて様々なプロセスが採用されている。最も一般的な精製操作としては、重合後のポリマー溶液とポリマーを溶かしにくい溶媒(貧溶媒)を混合し、ポリマーを析出させて分離する方法がある。精製以外にもポリマーブレンド性の検討、接着性検討など、ポリマーの溶解・混合現象に関連した操作は多い。ここでは溶解・混合現象の説明に用いられる溶解度パラメータについて解説する。(熊谷)
- 蒸気圧相関式(Wagnerの式)(1805)PDFファイル(1.59MB)
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概要
プロセス設計やプラントデータの解析を行う上で物性データは極めて重要であるが、特に純物質の飽和蒸気圧はその中でも重要性が高い。 純物質の飽和蒸気圧を表現する方法としては、Antoine式、Riedelの式、Wagnerの式、 Thomasの式、Frost-Kalkwarfの式、Pitzerの偏心因子ωによる相関法など様々な式が提唱されている。化学工学分野でよく利用されている式は、Antoine式(または修正Antoine式)、Wagnerの式(または修正Wagner式)であるが、ここでは臨界点まで精度よく表現出来るWagnerの式について、論文の情報を中心に紹介したい。(田口)
- 高圧における気液平衡計算(1803)PDFファイル(894KB)
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概要
プラント解析やプロセス設計では沸点・露点計算やフラッシュ計算に代表されるように気液平衡計算を行う機会は多い。ほとんどのケースでは理想溶液として扱えないので、活量係数式を組み込んで計算が行われる。2成分間パラメータが得られれば、Excelなどで多成分系の気液平衡計算が可能である。一方、1MPaを超えるような高圧系では、気相が理想気体として扱えなくなるため、通常はAspenPlusなどの定常シミュレータが使われている。しかしながら、沸点を知るなどの概略計算を行いたいときがある。ここでは高圧系についてExcelを使って気液平衡の概略計算を行う方法を紹介する。(横山)
- 無限希釈活量係数を用いたパラメータ決定時の注意点(1801)PDFファイル(2.07MB)
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概要
活量係数モデルを利用するには、Binary parameterが必要であるが、一般には相平衡の実測データから決定する。一方、相平衡データが測定されてない場合であっても、ヒント集1109「共沸データを用いた気液平衡パラメータの決定」で紹介したように、共沸データが利用できる場合は比較的精度の高い気液平衡の推定が可能であり、また無限希釈活量係数データについても同様のことが言える。ここでは、無限希釈活量係数データを用いてBinary Parameterの決定を行う場合の注意点について、Wilsonモデル、NRTLモデルを例に考察したい。(田口)
- ASOGグループ寄与法による活量係数の推算(1609)PDFファイル(1.28MB)
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概要
蒸留・吸収・抽出などの分離プロセスにおいて、混合溶液に関する相平衡の化学工学物性は必須である。非理想溶液の活量係数を求める際、実測値を用いず分子を構成する原子団情報を用いて活量係数を求める手法が原子団(グループ)寄与法であり、代表的手法にASOG法、およびUNIFAC法が挙げられる。UNIFAC法はASOG法を修正した手法であり、これらは基本的に同じ方法を用いている。ここでは、ASOG法を例に挙げグループ寄与法による活量係数の導出について考察したい。(田口)
- 標準沸点と蒸発潜熱による蒸気圧の推算(1602)PDFファイル(702KB)
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概要
プロセス設計において、物質の物性は必要不可欠であり、極めて重要である。そのため、信頼性の高い実測値等が利用できるのが最良であるが、それが得られない場合には推算等によりその値を求めなければならない。物性の中でも蒸気圧は単に純物質のPVT関係を表すだけでなく、相平衡にも関係することから、蒸留・反応・抽出等の主要な単位操作においても非常に重要な意味を持つ。しかし蒸気圧については精度の良い推算式は報告されていないため、本報では標準沸点のみを用いてまず蒸発潜熱を推算し、それらを用いて蒸気圧を推算する手法について検討する。(河合)
- 臨界物性推算 Joback法(1601)PDFファイル(1.08MB)
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概要
臨界定数は、状態方程式に代表される物性推算において、重要な物性値であり、気液平衡計算等の各種プロセス検討時に必要となる。ヒント集 1412において、グループ寄与モデルである Lydersenの手法を紹介した。Lydersenの手法の改善に成功し、比較的容易に利用が可能で、汎用シミュレータで広く用いられているJobackの手法について、修士論文の情報を交えて特徴及び注意点を紹介したい。(田口)
- 臨界物性推算モデル(Lydersen法)(1412)PDFファイル(872KB)
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概要
臨界物性は、状態方程式に代表される物性推算において、重要な物性値であり、気液平衡計算等の各種プロセス検討時に必要となる。一方、臨界物性データは、物質の熱安定性の問題などにより取得が困難なケースも多く、そのような場合には構造等による推算で求めることもある。ヒント集 0911において、物性推算手法の発展過程を紹介したが、その中でも最初に実用的な臨界物性推算に成功したと言われているグループ寄与モデル Lydersenの手法について、論文の情報を交えて特徴及び注意点を紹介したい。(田口)
- 純物質の蒸発潜熱概算(簡易計算)法(1405)PDFファイル(809KB)
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概要
蒸発潜熱は、蒸留塔、熱交換器などの設計において非常に重要であり、Clapeyron式やClausius-Clapeyron式など熱力学的関係から導出された式を用いて推算することが可能である。Clapeyron式を用いた推算を実施する場合、体積データが必要となるが、気液の体積データが揃っていることは少なく実用的とは言えない。Clausius-Clapeyron式を用いる場合、蒸気圧データがあれば推算可能であるが、理想気体の法則が成立する低圧領域以外では誤差が非常に大きく利用出来ない(蒸気圧を利用した蒸発潜熱の推算[ヒント集0812]を参照されたい)。ここでは、沸点データのみを用いたWatson式による蒸発潜熱の概算(簡易計算)法について紹介したい。(田口)
- 活量係数モデル_NRTL法(1403)PDFファイル(1.48MB)
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概要
気液平衡関係は、蒸留塔や蒸発器などの設計において非常に重要であり、多くの測定値が報告されている。また、設計計算を行う際、Process Simulatorを用いて気液平衡関係を計算するのが一般的となっている。液相中の非理想性が強い系の表現において、良好な結果を与える手法に活量係数モデルがある。ヒント集 1311においてWilson法を紹介したが、今回はNRTL法について、論文の情報を交えて特徴及び注意点を紹介したい。(田口)
- ヘンリー定数の推算(1401)PDFファイル(512KB)
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概要
気体と液体の相平衡(気液平衡)については古くから非常に数多くの系について研究が行われており、また実測値が無い場合には様々な理論的手法により推算することも可能である。しかし、超臨界状態にある系や液相が二相に分離する系では、液相中の溶質濃度は希薄であることが多く、通常の気液平衡よりも気体の溶解度に着目する方が適切であると言える。このような場合には一般にはヘンリーの法則を適用することが多いが、気液平衡と比較するとヘンリー定数を精度良く推算することも一般には難しいとされている。本報では無限希釈活量係数を用いたヘンリー定数の推算方法を紹介するとともに、その精度についても検討を行う。(河合)
- 外圧が蒸気圧に及ぼす影響(1312)PDFファイル(751KB)
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概要
純物質蒸気圧は温度のみで決まると理解されているが、これは低圧の場合のみであり、高圧の不活性ガスが共存すると蒸気圧が増加することが知られている。ここでは、外圧がどの程度高くなれば影響が出るかについて天然ガス中に飽和する水蒸気圧データで紹介する。(熊谷)
- 活量係数モデル_Wilson法(1311)PDFファイル(1.90MB)
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概要
気液平衡関係は、蒸留塔や蒸発器などの設計において非常に重要であり、多くの測定値が報告されている。また、設計計算を行う際、Process Simulatorを用いて気液平衡関係を計算するのが一般的となっている。液相中の非理想性が強い系の表現において、良好な結果を与える手法に活量係数モデルがある。ここでは、活量係数モデルの一つであるWilson法について、論文の情報を交えて特徴及び注意点を紹介したい。(田口)
- ビリアル状態方程式について(1310)PDFファイル(803KB)
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概要
状態方程式は気体の圧力-体積-温度の関係(P-V-T関係)を表す式であり、理想気体の場合はPV=nRTで表される。一方実在気体に対しては、理想状態からのずれをうまく表せる様に上式を改良するという研究が古くから行われており、大きく以下の2種に分けることができる。
1)van der Waals型状態方程式 2)ビリアル状態方程式
vdW型状態方程式は一般に相平衡を精度良く表すことに重点を置いて改良されているため、気液密度等の熱力学的物性に対しては若干精度が劣る。一方ビリアル状態方程式はその式の特性から高圧下での体積(すなわち密度)も精度良く表現できることから、臨界点付近の物性推算にも用いられている。従って、高圧領域においてはvdW式よりも適した状態方程式であると言える。そこで本報ではビリアル状態方程式の詳細と改良式等を紹介する。(河合) - 希釈熱・混合熱の計算法(1309)PDFファイル(775KB)
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概要
硫酸を水で希釈する場合など、有機物や無機物を溶媒で希釈する時に熱の出入りがあることは良く経験する。混合現象を溶液論で取り扱う方法も理論的に提案されているが、発熱や吸熱が大きい場合に適用できる理論は少なく、実測データに基づいた計算が良く用いられている。ここでは、希釈熱(混合熱)のデータ所在と硫酸の場合の計算方法について解説する。(熊谷)
- 状態方程式モデル_SRK法(1308)PDFファイル(1.89MB)
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概要
気液平衡計算を行う場合、Wilson法、NRTL法に代表される活量係数モデル、SRK法、Peng-Robinson法に代表される状態方程式モデルをSimulatorを用いて計算するのが一般的になっている。一方、各モデルの特徴等を十分理解しないままSimulatorを利用することに起因する問題例も増えている。ここでは、状態方程式モデルであるSRK法について、論文の情報を交えて特徴及び注意点を紹介したい。(田口)
- 蒸気圧推算法と純物質パラメータが計算に与える影響(1305)PDFファイル(707KB)
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概要
蒸気圧は熱力学物性の中で最も重要な物性の一つであり、気液平衡計算等の各種プロセス検討時に必要となる。また、蒸気圧が分かれば、蒸発潜熱の予測、蒸留分離の容易性の判断、気液平衡挙動の予測等を行うことも可能である。蒸気圧は、一般にAntoine式やWagner式に代表される実測データを用いた相関式を用いて表現するが、実測データが無い系では推算により求めることも多い。ここでは、代表的な蒸気圧推算法の一つであるRiedel法を紹介すると共に、Riedel法で利用する純物質パラメータが計算に及ぼす影響について考察した。その結果、沸点実測値が最も重要であることがわかった。(田口)
- データの無い系に対する1点 気液平衡組成の予測法(1302)PDFファイル(752KB)
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概要
化学系プロセスの場合、溶液内の非理想が高いケースが多く、一般に活量係数モデルを用いた計算がなされている。一方、主成分以外の物質間や、FSなど検討の初期段階においては、気液平衡データが十分揃っていない状況下で、相平衡計算が必要になることがある。このような場合、UNIFACやASOGに代表される構造推算型モデルを用いて予測することが多く行われているが、得られた計算値の妥当性を判断するのが難しい。ここでは、気液平衡実測値の無い系でも、純物質蒸気圧を用いて1点ではあるが、平衡組成を予測する方法を紹介し、その妥当性について考察したい。(田口)
- Antoine式のパラメータ決定(1212)PDFファイル(487KB)
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概要
プロセス設計やプラントデータの解析を行う上で物性データは極めて重要である。物性には平衡物性(純物質蒸気圧、気液平衡、比熱と蒸発熱等)と輸送物性(粘度、熱伝導度、拡散係数)があるが、その中でも純物質蒸気圧は他の物性値の推算の基礎となるので大変重要である。純物質蒸気圧計算によく用いられるAntoine式のパラメータ決定方法について紹介する。(熊谷)
- 活量係数パラメータ決定時の初期値概算(1211)PDFファイル(773KB)
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概要
活量係数モデルを利用してプロセスシミュレーションを実施するにはBinary parameterが必要であり、気液平衡等の実測データを用いて決定するのが一般である。しかし、WilsonやNRTL法に代表されるモデルのパラメータは、全て非線形項からなっており、適切な初期値や上下限値を与えないと上手く相関することが出来ない。このことは、汎用シミュレータを利用する場合でもあてはまり、データの健全性とは別の問題が生じる。ここでは、Wilsonモデルを例にとり、パラメータ決定を行う際の妥当な初期値について理解を深めると共に、初期値の概算法について紹介したい。(田口)
- van der Waals型 3次状態方程式のパラメーター(1210)PDFファイル(445KB)
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概要
気液の相平衡や熱力学特性値を表現するために状態方程式は広く用いられている。中でもvan der Waals型の状態方程式は古くから利用され、その精度を上げるために様々な修正型vdW式も検討・提案されてきた。vdW型状態方程式は通常2〜3個のパラメーターを使用しており、それらのパラメーターは臨界定数と関係づけられている。そのパラメーターに関しての理解を深めるために、それらの関係式の導出方法について整理した。(河合)
- 蒸気圧を用いた不溶解系混合物の相平衡計算(1208)PDFファイル(553KB)
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概要
不均一系混合物は、デカンターや遠心機などを用いて容易に分離することが出来るため、共沸蒸留、液液抽出、共沸脱水操作など幅広く応用されている。対象となる混合物が不溶解系の場合、容易に相平衡計算を行い、最低共沸温度等を特定することが出来る。ここでは、不溶解系混合物に対する平衡計算方法を紹介する。(田口)
- 固体の溶解度の温度依存性(1206)PDFファイル(731KB)
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概要
蒸留困難な高沸点物質の精製手段として、近年晶析やクロマト分離が良く用いられる。晶析では固体(製品と不純物)の溶解度が問題となり、クロマト分離では溶解成分(製品と不純物)の吸着平衡が問題となる。晶析で必要な溶解度の温度依存性を多項式近似で回帰する場合も多いが、データの誤差や外挿の精度を考えると理論に立脚した式が望ましい。ここでは、晶析で問題となる固体の溶解度の温度依存性について理論的な式がどの程度適用できるかを検討したので紹介する。(熊谷)
- 液液平衡データからの気液平衡の推算(1202)PDFファイル(731KB)
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概要
実測値がない場合の気液平衡の推定方法として、先に共沸データからの気液平衡推定方法について紹介した(共沸データを用いた気液平衡パラメータの決定 #1109)。ここでは、液液平衡データ(通常は気液平衡領域よりも低い温度)が利用できる場合の気液平衡推定方法について紹介する。(熊谷)
- 沸点上昇と沸点上昇定数(1201)PDFファイル(894KB)
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概要
溶媒に砂糖などの不揮発性の溶質を溶かすと、その溶液の沸点が純溶媒に比べて上昇することが知られており、これを沸点上昇(または蒸気圧降下)と呼ぶ。沸点上昇度は、溶媒固有の定数である沸点上昇定数(Boiling-point elevationconstant)によって決まる。このため、沸点上昇定数を利用すると、溶媒に溶かした溶質の分子量を実験的に決定することが可能となる。ここでは、沸点上昇定数の導出を行い、適用範囲について考察を行う。(田口)
- 共沸データを用いた気液平衡パラメータの決定(1109)PDFファイル(526KB)
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概要
WilsonやNRTLに代表される活量係数モデルを用いた気液平衡計算は、幅広く実施されており数多くの実績がある。活量係数モデルを利用するには、Binary parameterが必要であるが、一般には気液平衡の実測データから決定する。一方、気液平衡データが測定されてない場合であっても、共沸データが利用できる場合は、比較的精度の高い気液平衡の推定が可能である。ここでは、共沸データを用いて活量係数モデルのBinary Parameterを推算する方法、及び精度について考察する。(田口)
- グループ寄与状態方程式モデル(PSRK法)(1103)PDFファイル(874KB)
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概要
気液平衡計算を行う場合、Wilson法、NRTL法に代表される活量係数モデル、SRK法、Peng-Robinson法に代表される状態方程式モデルの利用が一般的になっている。前者モデルの利点は、非理想溶液に対する計算精度であり、後者モデルの利点は限られたパラメータのみで推算可能な点、及び臨界領域での結果の健全性と言える。一方、前者モデルは、実測データを用いたパラメータフィッティングを必要とし、後者モデルでは非理想溶液への適用限界が課題となる。ここでは、それぞれの課題を補ったグループ寄与モデル(PSRK法)について、論文の情報を交えて特徴及び注意点を紹介したい。(田口)
- 水の蒸気圧概略計算法(1101)PDFファイル(396KB)
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概要
水は生命体にとって欠かせない物質であり、工業プラントにおいても溶媒、冷媒、熱媒など様々な用途で用いられている。また、水は重要かつ身近な存在であるため、単位の基準として多用されており、その値を知っておくことは各種計算結果の妥当性を判断する上でも重要である。水の蒸気圧は極めて重要な物性であるが、非線形性が強いため大凡の値を記憶するのは難しい。ここでは、水の蒸気圧について容易に覚えることが出来、直ぐにでも活用できる概略計算法を紹介する。(田口)
- 不揮発成分を含む溶液の蒸気圧相関 その2(1008)PDFファイル(437KB)
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概要
ポリマー、塩類、糖類などの不揮発成分を含む溶液の蒸気圧の相関には、「化学工学便覧」(改訂第6版 1999年、P402)に示されているように、Duhring線図が有用である。この方法は簡便ではあるが、溶質濃度ごとに線図(相関パラメータ)が異なるので蒸発器の設計計算には不便な面がある。ここでは、溶液の蒸気圧を非理想系に用いられる活量係数式を応用する方法を提案する。(熊谷)
- 液相会合の気液平衡への影響(1004)PDFファイル(1MB)
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概要
物質の会合により気液平衡が変化することはよく知られている。たとえば気相での会合により蒸留分離は困難になる場合が多いが、このような場合の気液平衡モデルとしてはHayden-O’Connell式が良く用いられている。一方、液相における会合については、NRTL式に代表される局所モル分率モデルと、さらに準化学的な効果も考慮したUNIQUAC式が適用されているが必ずしも満足できる相関は得られていない。ここでは強い液相会合の場合に有効な気液平衡モデル(化学理論)について紹介する。(熊谷)
- 臨界物性定数の推算(0911)PDFファイル(2.1MB)
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概要
プロセス計算を行う上では、可能な限り実測データを入手することが望ましいが、時間の制約や対象成分の不安定性等により物性推算が必要になるケースも多く存在する。ここでは、対応状態原理や一般化状態式を用いて他の物質量を推定するための重要な物性データの一つである臨界物性(臨界温度)に焦点をあて、物性推算法の発展の過程を確認しつつそれぞれの手法の特徴や計算精度について考察を交えながら紹介する。(田口)
- 蒸気圧計算に見るフガシティの役割(0909)PDFファイル(922KB)
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概要
Process検討を行う際、多くの場面で相平衡計算が必要となる。相平衡計算の一つである気液平衡では、気相と液相の各成分フガシティが等しくなるように計算を行っている。汎用Process simulatorを用いれば簡単に解が得られるため、実際の計算過程を理解する機会は少ないが、計算過程を把握しておくことは、Simulatorの盲目的な使用を防ぐことにもなり大変有用である。ここでは、純物質の気液平衡として水の蒸気圧計算を例にとり、van der Waals型状態方程式を用いてのフガシティ計算を紹介する。(田口)
- 不揮発成分を含む溶液の蒸気圧相関(0904)PDFファイル(510KB)
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概要
ポリマー、塩類、糖類等の不揮発成分を含む溶液を濃縮しようとすると、これらの溶質が沸点上昇(蒸気圧降下)を起こす。このため、濃縮装置の伝熱計算を行うためには溶液の蒸気圧式を知ることが必要となる。同じ蒸気圧を示す純水と溶液の沸点関係が直線になることを利用して、溶液の蒸気圧実測値を相関する方法がDuhring(デューリング)プロットとして知られている。ここでは、この方法を解説するとともに、同じ結果を簡単に得られる直線プロットについて紹介する。(熊谷)
- 蒸気圧を利用した蒸発潜熱の推算(0812)PDFファイル(410KB)
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概要
蒸発潜熱はプロセス設計で頻繁に利用する物性であり、蒸気圧データと関係していることがよく知られている。前回紹介したClapeyron式,Clausius-Clapeyron式を用いて水の蒸発潜熱の推算を行い、結果を比較した。高温になるほどClausius-Clapeyron式は推算誤差が著しく大きくなる。一方、Clapeyron式は、体積データが必要になるが高温まで推算精度が高いことがわかった。(熊谷)
- Antoine式のB値について(0811)PDFファイル(434KB)
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概要
蒸気圧はプロセス設計で用いられる物性の中でも最も重要なものである。蒸気圧データを用いて蒸発潜熱を推算出来ることは以前は良く活用されていたが、最近ではシミュレータの普及によりあまり注意が払われていないようである。AntoineのB値、蒸発潜熱、沸点の関係を整理した。(熊谷)
晶析
- シードチャートについて(1908)PDFファイル(683KB)
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概要
晶析は、蒸留で除去しにくい高沸点や沸点が接近している不純物の除去方法として古くから用いられて来た。精製効果は高いが溶液から固体が析出するという現象のため、得られる製品の粒度コントロールが難しい面がある。この点を改善するため冷却晶析においては種晶(シード)を添加しておくことで安定に析出を行わせる手法が良く用いられている。ここでは、種晶の粒径・添加量と製品の粒径の関係に着目して晶析現象を解析するためのシードチャートについて解説する。(熊谷)
- 晶析におけるΔL則(0901)PDFファイル(750KB)
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概要
晶析操作は共通の取り扱いが難しい単位操作である。晶析速度の観点からはドライビングフォースとして冷却か蒸発かという選択がある。晶析の起こる環境としては溶媒を用いるか否かという選択がある。さらに種晶を用いるかどうかの選択等、晶析プロセス開発では様々な因子を決定する必要がある。これらの選択が、得られる結晶の純度、形状、粒度分布に影響する。晶析解析の手法として、ポピュレーションバランス(粒子数収支)検討は晶析プロセス検討に効果があるので、ここではΔL則を例にとり解析手法を紹介する。(熊谷)
蒸発・蒸留
- プロセスシミュレータDWSIM その2(2411)PDFファイル(2.58MB)
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概要
1980年代後半からAspenPlusやHYSYSに代表される商用プロセスシミュレータが普及して、化学プラントの設計や運転に欠かせないツールとなっている。最近、プロセスシミュレータにも無償で利用できるフリーソフトが登場してきており、中でもかなりの実力をもったDWSIMを取り上げて紹介している。前回「プロセスシミュレータDWSIM その1」(ヒント集No.2406)ではこのシミュレータの概要と物性機能を取り上げ、リグレッション機能を使って実測データからWilsonパラメータの決定を行った。今回「その2」ではユニットモデルを概観した後、気液分離器であるフラッシュドラムを使った3成分系のフラッシュ蒸留を試みてみる。(横山)
- 共沸蒸留について(2410)PDFファイル(6.66MB)
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概要
蒸留分離では沸点や揮発度など成分間の熱的性質の差を利用するが、この差が小さいまたは共沸混合物をつくる系の場合、単純な蒸留方法では純成分に分離することが難しい。このような系の場合、第3成分の添加 (溶剤、塩)、圧力の変更、石灰水のような脱水剤の利用、反応など様々な蒸留手法が適用されている。ここでは、溶剤を添加することで分離を容易に行う共沸蒸留について、原理および実施例を紹介したい。(田口)
- プロセスシミュレータDWSIM その1(2406)PDFファイル(7.54MB)
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概要
1980年代後半からAspenPlusやHYSYSに代表される商用プロセスシミュレータが普及し、現在では化学会社を中心に広く使われている。化学プラントの設計や運転になくてはならないツールとなっている。最近、プロセスシミュレータにも無償で利用できるフリーソフトが登場してきている。本稿は中でもかなりの実力をもったDWSIMを取り上げ、複数回にわたって紹介する。今回は入門編として概説からはじめ、シミュレータの構成要素のひとつである物性関連を概観していく。DWSIMには気液平衡の実測データから2成分間パラメータを求めるデータ・リグレッション機能をもっているので、実施例としてWilson式のパラメータの決定を行ってみる。(横山)
- 棚段塔と充填塔の選定(2311)PDFファイル(3.40MB)
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概要
蒸留塔を設計する手順は、フィード条件や分離のスペックから、気液平衡関係と物質収支・熱収支をベースにして、まず段数と還流比を決める。つぎは塔径や塔高などのサイジングに移るが、ここで棚段塔にするのか、あるいは充填塔を採用するのかの判断が必要となってくる。それによってトレイや充填物の選定が行われて、その結果として塔径や塔高の試算が可能となる。本稿ではどのような基準で棚段塔と充填塔(規則充填物、不規則充填物)を選定したらよいか、その判断基準を紹介する。(横山)
- 塩効果を利用した蒸留分離(2204)PDFファイル(3.73MB)
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概要
蒸留分離を行う上で、第3成分を添加することにより分離を容易にする手法が広く採用されており、その手法の一つに塩効果を利用した蒸留分離がある。塩効果を利用した蒸留は、抽出蒸留と原理が似ているが塩の溶解による蒸気圧降下を利用している点が異なっている。本報では抽出蒸留と塩効果を利用した蒸留の違い、およびその特徴について紹介する。(田口)
- 連続蒸留塔 Feed位置に関する考察(2112)PDFファイル(1.51MB)
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概要
連続蒸留塔を用いて製品を分離する場合、Feedする位置は出来るだけ塔内組成に近い位置となるように検討することが多い。既存設備の場合、反応条件の改善等により蒸留塔へのFeed条件が設計時と異なってきていることが多い。Feed位置が適切でない場合、製品純度やエネルギー使用量へ影響が生じるため、コスト面を含む総合的な検討が必要である。ここでは、理想溶液となる2成分系の蒸留塔を用いてFeed位置、およびFeed条件による分離への影響について考察を行いたい。(田口)
- 全還流を利用したバッチ蒸留操作-全還流抜去蒸留(2111)PDFファイル(831KB)
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概要
ファインケミカル、ライフサイエンス分野など、少量多品種生産での分離操作としてバッチ蒸留は良く用いられている。最も一般的な方法は、還流比を一定として、ある成分を高純度で留出させ、その後に還流比を変えて別の成分を高純度で留出させる。この方法では時間を要したり、留分切り替えに伴う中間留分の処理などが問題になる場合がある。分離したい軽沸成分(製品や不純物)が比較的少量の場合は、全還流により軽沸成分を高純度で還流ドラムに蓄積させ、その留分を一挙に抜き出すことで効率よく分離を行うことが可能であり、全還流抜去蒸留法と呼ばれている。ここでは、この操作方法の概要を紹介する。(熊谷)
- 連続蒸留塔 分離シーケンスに関する考察(2108)PDFファイル(2.08MB)
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概要
連続蒸留塔を用いて製品を分離する場合、製品の抜き出し位置は塔頂、塔底、中間段(サイド)が考えられる。一般的には塔頂から製品を抜き出すことが多いが、最低共沸を形成する系では塔底から製品を抜き出すことになる。今日まで多くの研究者の参加により、蒸留分離シーケンスの考え方や最適化手法等が進展している。ここでは、一般的な蒸留塔を用いた場合の分離シーケンスの考え方を確認すると共に、共沸を形成しない3成分系を用いて、分離シーケンスの違いが蒸留塔の熱負荷に与える影響について考察を行いたい。(田口)
- 蒸留塔サブクールによる分離効率への影響(1905)PDFファイル(654KB)
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概要
蒸留塔の塔頂部にコンデンサーを設置する場合、一般に飽和温度以下まで冷却(サブクール)することが多い。この理由の一つに、リフラックスポンプのキャビテーション防止がが挙げられる。コンデンサーで液をサブクールさせる場合、凝縮部に比べて液の伝熱係数が低いため、コンデンサーが大きくなりコスト高要因となる。一方、サブクールさせることで還流量を減らすことが可能となる。ここでは、サブクールと還流量との関係を確認しながら、影響について考察する。(田口)
- 水蒸気蒸留について(1904)PDFファイル(938KB)
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概要
揮発性物質は蒸留で精製することが多いが、高温になると有機物の場合は分解が促進される。分解を防止するには蒸留温度を低温にすることが有効であり真空蒸留が良く用いられている。より高沸点になるとより低圧にすることが必要になり、1 torr以下の分子蒸留も実用化されているが取り扱うガス量が増えること等の理由で大量生産には向いていない。蒸留温度を低温にするもう一つの方法は古くから用いられている水蒸気蒸留であり、大量生産にも利用されている。ここでは、水蒸気蒸留の解説とともにどのような分野に利用されているかを紹介する。(熊谷)
- 蒸留塔の制御方式(1903)PDFファイル(649KB)
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概要
プロセスシミュレータなどを使って蒸留塔の理論段数や還流比の検討が終わると、棚段塔や充填塔として塔径や内部構造物の設計とともに、どのように計装して運転するか、制御システムの検討が必要である。本稿では蒸留塔の制御方式の基本的な考え方と、流量、圧力、温度、液面の各制御ループの組み方について解説する。(横山)
- 逐次段計算による蒸留塔内組成および温度の計算(1709)PDFファイル(1.03MB)
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概要
Fenskeの式(ヒント集1009)、Underwoodの式(ヒント集1011)、Gilliland、またはBrown-Martinの相関を用いれば、蒸留塔の必要理論段数、および還流比を決定することができる。連続蒸留塔の塔径計算や省エネ検討等を実施するためには、塔内の気液組成、および温度分布が必要になるが、これらの式を用いた計算では求めることが出来ない。ここでは、ショートカット法の一つであるThiele-Geddes法を用いた逐次段計算法を紹介したい。(田口)
- サーモサイフォンリボイラーによる蒸留分離効果(1705)PDFファイル(454KB)
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概要
汎用シミュレータを用いた蒸留塔の検討時に、コンデンサー、リボイラーを蒸留塔と一体として計算することがよく行われている。これにより、リサイクルループ数が減少し収束性向上が期待できるためである。リボイラーには、大きく分けてケトルタイプとサーモサイフォンタイプが存在する。気液が混相状態で蒸留塔に戻るサーモサイフォンタイプの場合、蒸留分離効果が分かりにくい。ここでは、簡単な蒸留塔モデルを作成し、ケトルタイプと比較することでサーモサイフォンタイプの蒸留分離効果について考察したい。(田口)
- 水蒸気蒸留について(1610)PDFファイル(493KB)
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概要
沸点の非常に高い物質を蒸留により分離させたい場合、常圧の蒸留では高温の熱源が必要になるため、減圧下で蒸留することで温度を下げることがよく行われる。あるいは、目的物質が高温で分解するような場合も同様である。しかし、減圧度が大きく極めて高真空での蒸留が必要な場合には設備も大掛かりになるため、水蒸気蒸留がよく用いられる。水蒸気蒸留は留出物の蒸気に水蒸気を伴わせて留出物の分圧を下げることにより蒸留温度を下げる手法であり、本報ではその計算手法を簡易グラフと併せて紹介する。(河合)
- 蒸留塔の効率について(1509)PDFファイル(696KB)
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概要
蒸留塔の設計においては、経済性を考慮した上で塔径と塔高を決定する必要がある。塔高を求める際、気液平衡計算の結果から必要理論段数を求める方法が一般的であるが、実際の塔高を決定するには塔効率や段効率を求める必要がある。効率については、これまでに経験的、あるいは理論的(半理論的)に推算する試みがなされているが、精度の高い相関は未だに確立されていない。ここでは、棚段塔の効率を検討する際の主なアプローチをまとめると共に、実際の報告例との簡単な比較を行いたい。(田口)
- 残渣曲線の計算方法(1506)PDFファイル(992KB)
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概要
蒸留塔を用いた分離検討において、蒸留境界の存在有無は設計条件、安定運転等に大きな影響を及ぼす。また、塔内のResidual curve(残渣曲線)を確認することで、与えられたFeed条件に対する分離手順を検討することが可能となる。ヒント集1005「残渣曲線の解釈、蒸留分離手順検討への適用」では、与えられた残渣曲線を用いて分離手順を検討する方法を紹介したが、ここでは簡単な残渣曲線の計算方法について紹介する。(田口)
- 多重効用缶と蒸気圧縮式蒸発器のエネルギー比較(1409)PDFファイル(884KB)
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概要
バイオ分野や食品分野では水を蒸発させて製品を濃縮する操作が多い。水の蒸発潜熱は他の化学物質に比べて大きいため、エネルギーコストを下げる目的で、多重効用缶や蒸気圧縮式蒸発器が用いられることが多い。蒸気コストと電力コストは1970年代の石油ショックでそれ以前とは大きく変化したが、ここ10年でも原油価格の高騰によりエネルギーコストは変化して来た。ここでは、蒸発に関する代表的な省エネルギー装置である多重効用缶と蒸気圧縮式蒸発器を取り上げて、エネルギーコストの比較を行う。(熊谷)
- 蒸留塔における不規則充填物のHETPの概算(1407)PDFファイル(883KB)
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概要
蒸留は化学製品の分離に最も一般的に用いられている操作であり、その基礎となる相平衡については実測値及び理論に関して古くから数多くの研究がなされている。そのため、理論的に必要な段数に関しては非常に厳密に計算することが可能となっている。
一方、蒸留塔の設計においては、厳密に求められた必要理論段数を実現することが出来る実段数(棚段塔)、あるいは充填高さ(充填塔)を理論的に正確に求めることは容易ではなく、経験や実績に基づいて決定していることが多い。本報では、その中で不規則充填物のHETPの概算に関して整理した。(河合) - 多重効用缶の利用(1306)PDFファイル(873KB)
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概要
蒸発操作は、蒸留塔のリボイラーにみられるように化学プロセスでよく見る操作である。水溶液系有機物の濃縮は食品、医農薬分野で頻繁に用いられる操作であるが、蒸発させる物質が水であり、その蒸発潜熱が大きいことからエネルギーコストが問題になることが多い。多重効用缶は蒸気圧縮と並んで省エネルギープロセスであるが、駆動部が少ないためトラブルも少なく最もよく用いられている濃縮装置である。ここでは、多重効用缶の原理と検討方法の基本について解説する。(熊谷)
- 蒸留分離操作に対する圧力の影響(1205)PDFファイル(741KB)
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概要
一般に、蒸留分離を行う際、圧力を下げると分離が容易になる傾向にあることが知られている。2成分に対する蒸留分離の容易性については、比揮発度(α)の値から相対的に判断することが出来る。ここでは、代表的な物質を例にとり、圧力が変化することにより比揮発度にどのような影響が出るのかを考察したい。(田口)
- Underwood法による最小還流比計算(1011)PDFファイル(531KB)
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概要
多成分系蒸留計算において、最小還流比を求めることが出来れば、大凡の必要理論段数を求めることができる。2成分系の場合、作図により容易に求めることが可能であるが、多成分系においては複雑な計算が必要となる。最小還流比の計算方法には、Colburn法、Gilliland法、May法、Scheibel法等が存在するが、ここでは最もよく知られているUnderwood法を取り上げ、その手法について紹介する。(田口)
- Fenske式を用いた最小理論段数計算(1009)PDFファイル(501KB)
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概要
新規に蒸留計算を行う際、操作圧力を決定した後、理論段数(and/or 還流比)を決める必要がある。McCabe-Thiele法を用いた作図法も有効ではあるが、多成分系には適用が難しい。一方、多成分系蒸留計算の目安によく用いられる方法としてショートカット法が挙げられる。ショートカット法は、最小理論段数、最小還流比を求め、その後Gillilandの相関を用いて理論段数及び還流比を決定する手法で、非理想性が強く無い系については、有効な目安値を得ることができる。ここでは、最小理論段数を求めるFenskeの式を取り上げ、その手法について紹介する。(田口)
- 3成分系共沸点の目安(1007)PDFファイル(1.42MB)
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概要
2成分系共沸については多くの実測データがあるが、3成分系についてはデータが少なく予測が難しいのが現状である。 一方、実験を行う場合であっても全領域について確認するのは、時間を要し非効率である。ここでは、3成分系共沸点の見当をつける目的で有効と思われる経験則を紹介したい。(田口)
- 残渣曲線の解釈、蒸留分離手順検討への適用(1005)PDFファイル(845KB)
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概要
共沸組成を含む蒸留塔においては、Feed条件の変化により安定運転が困難に陥ることがあり、これはシミュレーションでも再現出来る。 この困難の原因の一つに、蒸留塔内における蒸留境界の存在が挙げられるが、どのような条件下で蒸留境界が発生するかを理解することは現実の問題を解く上で重要である。ここでは、残渣曲線の解釈を含め、蒸留分離手順検討に適用する際の方法について紹介する。(田口)
- McCabe-Thiele法を応用した共沸点の計算(1003)PDFファイル(595KB)
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概要
Wilsonに代表される局所組成モデルの登場により、2成分系のパラメータを基に多成分の気液平衡計算が可能になった点は大きな進歩である。一方、多成分系の共沸点については2成分系パラメータの組み合わせを眺めても容易に判断することは出来ない。ここでは、McCabe-Thiele作図法を応用し、多成分系の共沸点を計算する方法について紹介する。(田口)
- 共沸組成に対する圧力・第3成分の影響 (1001)PDFファイル(2.59MB)
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概要
蒸留による分離プロセスを扱う上で、現象を複雑にする要素の一つに共沸現象がある。共沸混合物を形成する系は、通常の蒸留では純成分に分離することが出来ない。そのため、化学吸収、第3成分の添加、圧力の変更、反応蒸留など古くから様々な工夫がなされている。ここでは、共沸組成に対する圧力、及び第3成分添加による影響について紹介する。(田口)
- 多成分系Rayleigh式とその応用(0908)PDFファイル(499KB)
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概要
Rayleigh(レーリー)式はバッチ単蒸留を記述する式として良く知られている。2成分系Rayleigh式は、McCabe-Thiele法と組み合わせることで、2成分系精留計算へ応用できる。
Rayleigh式は何ら実験的事実を利用しているわけではなく、物質収支を単蒸留操作に適用しただけであるが、そこから導かれる結論は大変有用である。
ここでは、多成分系Rayleigh式を、混合溶媒系の乾燥挙動の解析に応用した事例について紹介する。(熊谷) - 蒸留塔熱解析−蒸留塔の改善と最適還流比の目安(0907)PDFファイル(455KB)
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概要
前回カラムターゲット法を用いることで蒸留塔の状態を熱力学的な最小エネルギーから考察することができることを紹介した。今回は、カラムターゲット法を用いて、蒸留塔の改善ステップを具体的に紹介する。また、蒸留塔及び周辺機器の設備費と運転費の合計を最小にする還流比(最適還流比)について考察した。(田口)
- 蒸留塔熱解析-カラムターゲット法(0906)PDFファイル(560KB)
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概要
蒸留塔は物質の分離に最も多く用いられてる分離手段である。高度な精製あるいは比揮発度の接近した物質の分離のためには高い還流比が必要なことから、所用エネルギーを減らす工夫が必要となる。フィードを蒸留塔ボトム液で予熱する、コンデンサーで低圧蒸気を回収する、既存の蒸留塔の内部を改造して理論段数を増やすなどの手法が多く用いられているが、現状の蒸留塔の状態を熱力学的な最小エネルギーを考察することで、現状の問題点と改善の指針を見出す手法(カラムターゲット法)について紹介する。(田口)
- 気相での会合挙動(0905)PDFファイル(360KB)
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概要
酢酸をはじめとする有機酸類は、水素結合により気相で2量体を形成している物質としてよく知られている。会合することにより気液平衡が変化し、蒸留分離が困難になる場合が多いことから気相会合現象には多くの注意が払われて来た。
有機酸以外にもフッ化水素や有機物でも気相会合が知られている例を文献から調べた結果について紹介する。(熊谷) - 蒸留分離段数の目安(0902)PDFファイル(500KB)
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概要
蒸留計算はコンピュータの発展により最も恩恵を受けた単位操作である。1970年代までは、大型コンピュータによる逐次段計算(主としてエンジニアリング会社)とMcCabe-Thiele法(化学会社)が主流であったが、現在ではPCベースのプロセスシミュレータの利用が広まっている。
シミュレータを用いることで手軽に計算が出来るようになったが、ケーススタディをどういう条件から始めるかは個人のスキルによってかなり異なっている。経験のあるエンジニアは最終的な解の近くから効率的に検討を行うが、初心者はどこから手をつけて良いかよくわからないのも事実である。この意味で、段数の目安をつけるということは、効率的な検討のために重要である。ここでは、連続蒸留とバッチ蒸留の目安の付け方について紹介する。(熊谷)
反応
- 逐次反応第2段の速度が大きい場合の解析(2408)PDFファイル(3.15MB)
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概要
化学工業においては、様々な反応が利用されているが、中でも逐次反応は利用されることが多い反応の一つである。逐次反応の場合は中間生成物が目的製品になることが多く、そのため反応率等の条件設定が重要となる。特にオレフィンの部分酸化によるエポキシドの製造の様なプロセスにおいては、完全酸化(燃焼反応)を抑制するためにあえて低反応率に設定して高選択率を維持できるような運転条件を設定するのが通常であり、そのためにも反応の詳細な解析は必須となる。 ヒント集1304「逐次反応の中間生成物の挙動」に、目的中間体が最大となる“反応時間とその収率”の解析解が示されている。本稿では、逐次反応の第2段目の速度が大きい場合について考察を実施した。(築山)
- 反応におけるバッチと連続の比較(2102)PDFファイル(713KB)
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概要
バッチ操作と連続操作はどちらも化学プラントで用いられるが、大量生産では連続操作が、少量生産ではバッチ操作が用いられることが多い。反応操作(一次反応)と蒸発操作については、ヒント集1002で概要を解説した。ここでは、反応を取り上げて、反応速次数によりバッチと連続でどのように成績が変化するかについてさらに検討を加えた。(熊谷)
- ポリマーの重合度・分子量分布の相関(1912)PDFファイル(995KB)
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概要
ポリマーは重合反応によって得られるが、その分子量は分布を持っている。分子量分布の差はポリマー物性の差になるため、得られたポリマーがどのような分布になっているかは重要な関心事項である。分布が測定された場合は、その分布を決めている操作条件の検討や分布から決まる物性を検討することになるが、分子量分布を式にしておくことで解析が便利になる。ここでは、重合後にポリマーの分子量分布データから相関式を作成する際に有効と思われる解析法について紹介する。(熊谷)
- 燃焼時の空気比について(1804)PDFファイル(810KB)
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概要
化学プラントには、ボイラー、キルン、熱分解炉など高温の燃焼熱を利用した装置が数多く用いられている。燃焼用の燃料も重油などの液体、天然ガスなどの気体、石炭などの固体と様々な種類が用いられている。効率よく燃焼させながら必要な燃料の量を減らすことは省エネルギーの観点から大変重要である。ここでは燃焼計算の基本と省エネルギーと密接に結びつている空気比について解説する。(熊谷)
- バッチ重合反応器の温度調節操作(1703)PDFファイル(666KB)
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概要
槽型反応器を使ったバッチ重合反応では、ポリマーの物性や品質に温度はきわめて大きな影響を及ぼす。一般にバッチ運転では原料の仕込みから始まって、反応液の温度を上げて反応を開始する。温度を調整しながら反応を進め、目的の転化率に達したら冷却して製品を取り出すという一連の運転手順が必要となる。本稿ではバッチ重合反応器の昇温過程と反応過程の検討事項について紹介する。(横山)
- セミバッチ反応器運転のシミュレーション検討 その2(1611)PDFファイル(748KB)
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概要
化学反応では温度が重要なファクターであるが、バッチあるいはセミバッチの槽型反応器を対象とすると、反応が熱暴走しないように除熱で抑制したり、製品品質のために反応温度を一定に保ったり、反応開始温度まで昇温したりなど、必ず何らかの温度制御が関わってくる。その1では副原料が持ち込む顕熱と反応液の体積変化を考慮したセミバッチ反応器のモデルを作成し、温度制限のある条件下で、所要の転化率を得るための運転方法を検討した。本稿ではこのモデルに制御ループを追加して温度制御を用いた運転方法について検討する。(横山)
- セミバッチ反応器運転のシミュレーション検討(1607)PDFファイル(757KB)
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概要
槽型反応器でバッチ(回分)操作を行う場合に、反応が迅速に進行して多量の発熱が起こるような反応、あるいは一方の原料が重合して多量体を生成してしまうような反応では、反応器に主原料を仕込んで副原料を徐々に添加するセミバッチ(半回分)式の操作が行われる。槽型反応器ではジャケットに冷媒・熱媒を流して冷却・加熱が行われる。また、副原料を低い温度で投入することで顕熱を使って冷却することも行われる。セミバッチ反応器の時間に対する温度変化や濃度変化は多様であり、ピーク温度を確認するなど、その把握は重要である。本稿では、副原料が持ち込む顕熱と反応液の体積変化を考慮したセミバッチ反応器のモデルを作成し、温度制限のある条件下で、所要の転化率を得るための運転方法を検討する。(横山)
- バッチ反応圧力変化データからの速度解析法(1406)PDFファイル(528KB)
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概要
反応速度を求めるためには反応組成の経時変化データが必要であるが、プラントにおいては利用可能なデータが限られているために、反応速度解析が容易でないことが多い。ここでは、バッチ水素添加反応の圧力変化データから反応速度を求める方法について解説する。(熊谷)
- 逐次反応における中間生成物の挙動(1304)PDFファイル(627KB)
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概要
化学工業においては、目的製品を反応により生成させることは一般的であり、数多くの反応プロセスが確立されている。この反応についてはいくつかの種類に分類されるが、中でも逐次反応は利用されることが多い反応の一つである。逐次反応の場合は中間生成物が目的製品になることが多く、そのため反応率等の条件設定が重要となる。特にオレフィンの部分酸化によるエポキシドの製造の様なプロセスにおいては、燃焼を抑制するためにあえて低反応率に設定して高選択率を維持できるような運転条件を設定するのが通常であり、そのためにも反応の詳細な解析は必須となる。そこでこの逐次反応の中間生成物の挙動に関して、基礎的な考察を実施した。(河合)
- 酵素反応における阻害と反応解析(1301)PDFファイル(491KB)
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概要
糖質やアミノ酸をはじめとするバイオ関連製品の生産においては、生物機能を応用している。これらの製品の工業化には生化学の分野に反応工学を適用する必要があり、生物化学工学とも呼ばれている。生化学反応の多くは酵素が触媒として基質に作用して起こっている。酵素はタンパク質からなる物質であり、基質はその酵素の特定部位に結合して反応し、生成物へと変化して酵素から離れる。一方、酵素は種々の化学物質により阻害を受けるが、それらはいくつかのタイプに分類される。その場合、実際にどのタイプの阻害が生じているかについては、反応速度の解析から判断できる。そこで、酵素反応速度式として最も一般的であるMichaelis-Menten式に着目し、反応速度と阻害タイプの関係を整理した。(河合)
- 透過率を利用した低濃度反応の解析(1204)PDFファイル(470KB)
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概要
無機水溶液の製造プロセスにおいて、分析下限レベルの微量の有機物が含有するだけで着色が発生する場合がある。あるプロセスでは、有機物はプロセス内で生成するものではなく原料中に含まれてくるものであるが、上流側で完全に除去することはプロセスの特性上困難であり、着色が発生した場合は無機水溶液製品を過酸化水素水等により酸化脱色する必要がある。この脱色反応は反応原料である有機物濃度が分析下限レベルの微量であるため、通常の反応解析で行う濃度変化の測定を精度良くよく実施することが困難である。このような場合、反応の指標として透過率に着目した反応解析が可能であることを紹介する。(河合)
- 反応速度定数の目安のつけ方 その2(1203)PDFファイル(470KB)
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概要
反応速度は非線形性が強い現象であり、実験データから反応速度定数を数値計算で求めるにあたって、妥当な値が得られるかどうかは速度定数の初期値に依ることを指摘した。また、微分方程式を差分化することで比較的簡単に妥当な速度定数初期値(反応速度定数の目安)を得ることができることも示した。ここでは、差分化する手法の一つである初速度法が可逆反応解析に有効であることを紹介する。(熊谷)
- 反応速度定数の目安のつけ方(0912)PDFファイル(537KB)
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概要
反応速度解析により速度定数を求めるには、単一反応の場合には直線プロットが広く用いられている。複合反応であっても、解析的に積分可能な場合はExcelのソルバー機能で速度定数を決定することが可能である。しかし、複雑な反応で解析的に積分が出来ない場合は、微分方程式のパラメータ推定問題となるため、カスタムモデリングツールを用いることが多い。
Excelのソルバー機能でもカスタムモデリングツールであっても、最適な解を見つけるには、速度定数の初期値が妥当であることが非常に重要である。 ここではExcelのソルバー機能を利用した、反応速度定数の目安のつけ方について紹介する。(熊谷) - 可逆反応速度式の注意点(0903)PDFファイル(310KB)
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概要
エステル化反応等の可逆反応を扱うプロセスは多い。コンピュータの利用が一般的でなかった時代の速度解析は、量論的な速度式を用いていたが、近年ではデータ回帰が簡単に行えるようになったことから、非量論的な速度式(べき乗が整数でない工業的な反応速度式)も多く用いられている。可逆反応をこのように解析する場合には注意を要するが、この点にはあまり注意を払われていないようである。ここでは、簡単な反応を例にとって可逆反応の取り扱いの注意点を示す。(熊谷)
粉体
- 粒度分布の相関方法(1006)PDFファイル(1.17MB)
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概要
粉体の特性を表わす物性値としては様々あるが、粒度分布は最も基本的なものとして重要である。粒度分布測定値をグラフ表現することと同時に、相関式として表現することにより、測定されていない領域を推定したり、複数のピークのある分布を粒度分布の異なるいくつかの粉体の混合として理解することが可能となる。ここでは粒度分布を表す式として最も良く用いられているロジン・ラムラー式と対数正規分布式を紹介する。(熊谷)
調湿・乾燥
- 向流形冷水塔の性能評価(2206)PDFファイル(1.01MB)
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概要
国内の化学プラントでは、工場内の循環冷却水を冷水塔で冷却する例が多い。冷水塔では、冷却水を空気と直接接触させ、水を蒸発させ、その潜熱によって残りの水を冷却している。そのため、利用する空気の湿球温度、冷却すべき水の量・温度によって、性能は変化する。昨今、地球温暖化に伴い、気温の上昇が懸念される環境で、冷水塔の性能がどのように変化するのか予測することが重要である。今回は、冷水塔の性能評価、および条件変更時の性能変化予測の概略を紹介する。(大槻)
- スプレードライヤーの熱収支(1512)PDFファイル(1.13MB)
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概要
流動層乾燥機、スプレードライヤー、気流乾燥機は、熱を直接的に材料に与えて効率的な乾燥を図る装置である。間接加熱に比べて加熱媒体(多くは加熱空気)の温度を低く設定することが出来るので粉体製品が熱に弱い場合には特に好まれる。中でもスプレードライヤーは流動性が優れた乾燥製品を得やすいことから、医農薬・バイオ・食品分野などで多用されている。フィード中の固形分濃度が流動層乾燥機や気流乾燥機に比べると低い(溶液やスラリー状)ので、熱風温度を150-200℃の比較的高温度にする必要がある。このため装置表面からの放熱が無視できず、製品温度の検討に際してはこの点を考慮する必要がある。ここではスプレードライヤーの熱収支特性について解説する。(熊谷)
- 回分式熱風乾燥器の乾燥時間(1404)PDFファイル(717KB)
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概要
回分式の熱風乾燥器は少量多品種の乾燥に適し、運転制御も容易であるため、固体ハンドリングに手間を要するという欠点もあるが非常によく利用されている。この乾燥機を使用した場合の乾燥時間の計算方法について考える。(河合)
- 流動層乾燥機の乾燥特性(1110)PDFファイル(556KB)
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概要
流動層乾燥機は乾燥速度が大きく、スケールアップ手法も他の乾燥機に比べるとかなり確立されている。さらに、バッチでも連続でも操作可能であり、内部構造がシンプルで洗浄しやすいので乾燥機検討では重要な候補の一つである。水ウエットケーキの場合は静電気についても比較的安全と言えるので、幅広いプロセスで採用されている。ここでは、流動層乾燥機の特性について紹介する。(熊谷)
- 湿度図表と湿度計算(1010)PDFファイル(1.42MB)
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概要
流動層乾燥機やスプレードライヤーはファインケミカル分野で良く用いられている乾燥機である。乾燥に高温空気を用いているために装置表面からの放熱が無視できず、スケールアップによって乾燥温度/加熱空気温度(または空気流量)が変化し、製品品質に影響する場合も多い。スケールアップ検討の基礎として熱収支計算を行うための湿度計算について紹介する。(熊谷)
吸着
- 圧力スイング吸着(PSA)の概要(1911)PDFファイル(692KB)
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概要
空気の分離や気体の精製に圧力スイング吸着(PSA : Pressure Swing Adsorption)がよく使われている。吸着剤への吸着しやすさの差を利用した分離操作が吸着であるが、複数の吸着層を用いて、吸着層に対して圧力を変えることにより、吸着と脱着を循環操作して分離や精製を行う。本稿では圧力スイング吸着を概観し、原理や仕組みを解説する。(横山)
- 吸着塔の概略設計方法(1604)PDFファイル(864KB)
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概要
バッチ吸着データに基づくカラム吸着の破過挙動の計算方法については過去のヒント集で紹介した(1502, 1505)。理論段に基づいた厳密な計算は重要であるが、実験条件の設定時など吸着塔についての概略設計計算方法も重要である。ここでは”Unit Operations of Chemical Engineering”(McCabe, Smith, Harriott;5th edition)の方法について解説する。(熊谷)
- バッチ吸着とカラム吸着 その2.カラム吸着(1505)PDFファイル(467KB)
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概要
微量不純物の除去操作として吸着が良く用いられ、少量処理の場合にはバッチ操作が用いられることを前報で紹介した(バッチ吸着とカラム吸着 その1.バッチ吸着:ヒント集 No.1502)。
処理量が多い場合には固定層を利用した連続操作が好まれるが、固定層内部では入口からの距離の応じて濃度が異なり、この濃度分布自体が時間とともに変化するという複雑な挙動を呈する。このため、出口における濃度の時間変化を計算しようとすると内部の状態をモデル化することが必要となる。本報では連続吸着(カラム吸着)操作の計算方法について解説する。(熊谷) - バッチ吸着とカラム吸着 その1.バッチ吸着(1502)PDFファイル(815KB)
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概要
蒸留での分離が難しい微量成分を除去する操作として吸着操作は良く用いられている。食品工業では活性炭による脱色操作が広範に用いられ、一般化学分野でもVOC(volatile organic material 揮発性有機ガス)成分の除去や無機・有機不純物を除去することが行われている。気相操作では吸着剤を充填した固定層に連続的にガスを流す操作が一般的であるが、液相操作の場合は連続固定層だけでなく、バッチ吸着+ろ過の組み合わせによる精製も行われている。今回は、吸着操作の基本となる吸着平衡とバッチ吸着について解説する。(熊谷)
- クロマト分離の性能評価指標(1303)PDFファイル(701KB)
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概要
クロマト分離は食品基材分野をはじめとしてファインケミカル産業で幅広く用いられている分離精製法である。原理はガスクロマトグラフや液クロマトグラフと同じであり、分離の程度はクロマトグラム(成分濃度変化のチャート)からよくわかる。しかしながら、吸着現象のため計算は簡単ではなく、操作点の選択は容易ではない。クロマト分離計算については以前紹介したので(クロマト分離計算法 #1012)、ここでは、分離性能の評価指標について解説する。(熊谷)
- 吸着現象の解析方法について(1209)PDFファイル(614KB)
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概要
微量の不純物を除去する操作として吸着は液相、気相を問わず広範囲に用いられている。吸着現象は固液あるいは固気平衡であるが、物理的な効果だけでなく化学的な効果がある場合もあり様々なモデルが提案されている。最も簡単なモデルであるラングミュア式を用いてデータの解析方法と実装置での挙動検討の注意点をまとめた。(熊谷)
- クロマト分離計算法(1012)PDFファイル(841KB)
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概要
化学産業のファイン化とあいまって、蒸留では分離することのできない高沸点物質の精製が必要になる場合が増えている。晶析は溶解度の差を利用して物質の精製分離を行う操作であるが、溶解度差が小さい不純物の分離には適用できない。食品工業をはじめとするファインケミカルでは溶解挙動が製品と似ている不純物を分離する操作として、クロマト分離が広い範囲で用いられ、工業的な規模での連続操作も多く見られる。ここでは、最も簡単な1パスクロマトの場合について計算法を解説する。(熊谷)
流動・攪拌
- 往復ポンプの特徴と設計での注意点(2407)PDFファイル(2.64MB)
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概要
ポンプはプラント内で最も多い装置の代表であり、流体の輸送に欠かせない機器である。往復ポンプは容積形ポンプの1種であり、シリンダー内部のピストンまたはプランジャーを往復運動させることにより、内部弁の開閉によって流体を吸込/吐出させている。その特性上、一般の遠心ポンプとは異なる設計上の注意点がある。本稿では往復ポンプの特徴と設計での注意点を解説する。(下村)
- 配管用ガスケットの選定(2402)PDFファイル(4.00MB)
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概要
プラント内の配管フランジ部や圧力容器フランジ部で確実に内部流体を封止するためには、フランジおよびガスケットについて適切な設計(選定)と施工を行う必要がある。一見、詳細設計の領域と考えられがちであるが、その設計(選定)は内部流体条件、特性およびプラントの運転方法と密接な関係があり、基本設計以前の段階でも選定方法について認識しておくことは重要である。本稿ではその中の配管用ガスケットについて取り上げ、選定に必要となる情報や注意点について解説する。なおシール材の中でも遠心渦巻ポンプの軸封など、摺動部に用いられるものをパッキン、固定部に用いられるものをガスケットと呼び、本稿で扱うのは後者である。(下村)
- 容積形ポンプの特徴と性能曲線(2308)PDFファイル(2.39MB)
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概要
ポンプはプラント内で最も多い装置の代表であり、流体の輸送に欠かせない機器である。ポンプをその型式で分類すると大きく2系統に分けられる。ターボ形(羽根車の回転によって揚程を出すもの) : 渦巻きポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプなど。容積形(歯車やネジやベーンなどの回転によって揚程を出すもの) : ギアポンプ、プランジャーポンプ、スクリューポンプなど。本稿では後者の容積形ポンプの特徴や性能曲線の読み方(特にモーノポンプについて)を解説する。(下村)
- 管路網の圧力流量計算(2305)PDFファイル(1.58MB)
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概要
工場内には冷却水配管や散水配管など液体の流れる配管ラインが、網目のように存在している。上流側から一方向に流れるような配管ラインであれば、流量から圧力損失を求めて圧力を決めるなど、上流側から順次計算できるので、計算自体はそれほど難しくはない。ところが分岐と合流が存在して網目のようになっている管路網の場合には、圧力流量計算がかなり複雑になってくる。今回はこのような管路網の計算の考え方を示し、モデルケースを用いてExcelで解法する手順を紹介する。(横山)
- 遠心ポンプの並列・直列運転(2209)PDFファイル(833KB)
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概要
遠心ポンプは吐出圧(揚程)が流量の増加とともに少しずつ減少し、配管ラインにある配管、熱交換器、オリフィス流量計などの配管抵抗(圧力損失)は流量で増加する。これに静水頭と制御弁の圧力損失を加えた圧力レベルが、全体としてポンプに求められる吐出圧である。本稿ではモデルケースを考えて、流量を増やすために2台つないで並列運転した場合にバランスする点が単独運転の場合に対してどのように変わるか、また送液先の切り替えで配管抵抗や高低差が増えた際に2台を直列運転した場合はどうなるかを試算して検討する。(横山)
- ポンプとファンの性能線図に及ぼす回転数の影響(2207)PDFファイル(1.23MB)
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概要
流体輸送装置として、ポンプ(液体)とファン・ブロア・圧縮機(気体)がプラントでよく使用されている。渦巻ポンプ(遠心ポンプ)とファン(遠心送風機)はともに遠心力を利用した装置であり、大型機器の場合は省エネルギーのために回転数制御が実施される場合が多い。ここでは、回転数が性能線図に与える影響について解説する。(熊谷)
- ファンと管路の圧力計算(2203)PDFファイル(1.06MB)
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概要
ファンやブロアは集塵や空気輸送でプロセスの最終工程でよく使用される。設備変更などにより配管経路や送風機の増設などがあると、系の圧力バランスが取れずに安定運転が難しくなることも良く経験される。ここでは、送風機の性能曲線と管路の圧力損失のバランスをもとにした圧力計算について紹介する。(熊谷)
- 円管内の流動(2)乱流(2012)PDFファイル(1.25MB)
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概要
円管内に粘性流体を流すと、流動状態として層流と乱流という2種類の状態があることが知られているが、本稿では乱流を取り扱う。乱流では理論的に圧力損失に関する式が導出できないので、次元解析を使って関係を無次元数で整理すると、摩擦係数を使ったFanningの式が導出できる。また、摩擦係数を推算する実験式はRe数と相対粗度の関数として、Re数の領域に応じていくつか提案されている。これらの実験式について、円管内に冷却水を流す代表的なケースで試算を行って比較してみる。(横山)
- 液液系の撹拌について(2011)PDFファイル(549KB)
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概要
液液系の撹拌操作は、相互に溶け合わない2液を撹拌して一方の液相を液滴として分散させることで2液相間の物質移動や熱移動を促進したり、懸濁重合のように球状の生成物を得ることを目的として行われる。特に、一方の液相を完全に分散させることが重要であり、さらに撹拌動力や液滴径分布などを考慮した装置設計を行うことが求められるため、それらについての概要をまとめた。(河合)
- 管型反応器の滞留時間分布その1 モーメント解析と槽列反応器モデル(2008)PDFファイル(744KB)
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概要
管型反応器では、理想的な流れとして押出流れが想定される。そして、その反応率は、平均滞留時間に相当する反応時間でのバッチ反応と、同等の成績が期待される。しかし、実際の装置では、拡散・混合等により滞留時間分布が存在して、反応率が低下する。効率低下を招く滞留時間分布を表現するために、基礎モデルとして、混合拡散モデルと槽列モデルが用いられる。今回は、槽列モデルに着目して、(1)滞留時間分布の同定法、(2)槽数への変換、および(3)槽列反応器の反応率についてまとめた。(大槻)
- 次元解析(2007)PDFファイル(922KB)
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概要
化学工学の分野では、相似則を使ってスケールアップ(装置規模の拡大)が行われるが、スケールによらず成り立つ支配方程式を導くために次元解析が使われる。また、現象を表すモデル式が理論的に導出できない場合がある。このような場合には実験によらざるを得ないが、関係すると思われる物理量を書き並べて、次元の一致の原理を利用して次元解析により関係式を導く方法が採られる。本稿では次元解析の考え方を振り返り、化学工学で使われているモデル式のなかで、次元解析によって導出されたケースについて式を導出すると同時に、スケールアップした場合の応用について考えてみよう。(横山)
- 固液系の撹拌について(2006)PDFファイル(562KB)
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概要
固液系の撹拌操作はスラリーの調整や固液間の化学反応や物質移動を促進することを目的として行われる。その目的のためには固体粒子を液体中に均一に分散させることや、すべての固体表面を液体に接触させること、あるいは固体粒子の沈降を防ぐことなどが必要であり、それぞれに応じた装置設計を行うことが求められる。そこで本報では固液系の撹拌槽の設計ポイントをまとめた。(河合)
- 円管内の流動(1)(2003)PDFファイル(804KB)
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概要
円管内に粘性流体を流すと、流動状態として層流と乱流という2種類の状態があることが知られている。また、壁では流速が0となり、せん断力が作用することから圧力の降下が起こる。これを圧力損失と呼ぶ。この圧力損失はFanningの式を使って求めるが、この際に摩擦係数 f の値が必要で、無次元数であるレイノルズ数Reの関数として整理されている。筆者は f と Re の関係を実験的に得た経験があり、それで得られた知見を紹介する。あわせて、層流では理論的にこの関係がHagen-Poiseuilleの式として表せるのでおさらいしておく。(横山)
- 気液系の攪拌について(2002)PDFファイル(725KB)
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概要
気液系の撹拌操作は一般に気泡を微細化して気液間の物質の移動を促進するとともに槽内を均一化することを目的として行われる。その目的のためには適切な撹拌装置の選定・設計が重要であるが、均一系の撹拌とは異なる点が多く、それらを十分に理解した上でプロセスの設計を行わなければならない。そこで本報では気液系の撹拌槽の設計ポイントをまとめた。(河合)
- 撹拌槽の流動特性について(1910)PDFファイル(792KB)
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概要
撹拌操作は液体-気体、液体-液体、液体-固体系の混合や分散等を目的として一般的に使用されている単位操作である。撹拌のための装置としては撹拌翼を設置した槽を用いるのが通常であるが、撹拌翼には様々なタイプがあり、それぞれの撹拌特性を理解した上で目的に応じた適切な撹拌翼の選定が必要となる。本資料では撹拌槽内の流動特性について、その基礎的な内容をまとめた。(河合)
- ポンプのキャビテーションとNPSH(1907)PDFファイル(996KB)
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概要
遠心ポンプの設計では揚程とNPSHが仕様を決める上で重要であると言われている。このなかでNPSH(Net Positive Suction Head)は、ポンプのキャビテーションを防ぐための仕様であり、扱う液体の飽和蒸気圧に対する余裕がどのくらいあるかを表す圧力である。本稿ではキャビテーションとNPSHについて解説するとともに、トラブルになりやすいケースについて確認方法や回避手段に触れることにする。(横山)
- 撹拌動力について(1906)PDFファイル(552KB)
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概要
撹拌操作は液体-気体、液体-液体、液体-固体系の混合や分散等を目的として一般的に使用されている単位操作である。 撹拌のための装置としては撹拌翼を設置した槽を用いるのが通常であり、その設計の際のポイントの一つが撹拌動力である。撹拌動力は混合状態の評価やスケールアップの指標等にもなるため、その算出方法を理解しておくことはプロセス設計において非常に重要である。(河合)
- 流動層による連続造粒の滞留時間分布(1812)PDFファイル(990KB)
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概要
粉体製品のハンドリング性向上のために造粒が行われることがあるが、特に食品関連産業では最終製品に好ましい物性を付与するために造粒が行われることが多い。多くの製品はバッチで製造されるが最終製品の原料となる粉体製造では連続操作も多く、均一な造粒が課題となっている。ここでは造粒に使用されることの多い流動層について連続操作時の造粒均一性についての研究報告を紹介し滞留時間分布について検討する。(熊谷)
- 液封による危険性について(1809)PDFファイル(1.09MB)
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概要
一般に、液体は気体と比較すると圧力や温度よる体積変化が小さく、非圧縮性流体として扱われている。しかし、液封配管のように密閉状態になっている場合、液体が少し膨張するだけでも大きな圧力を生じ、内容液の噴出や昇圧破壊を引き起こすことがある。液封による圧力上昇は、流体によって差はあるが温度に対する感度が大きいことが知られている。ここでは、液封時に温度が上昇した際、どの程度の圧力上昇が生じるのかについて検討したい。(田口)
- 渦巻きポンプの所要動力について(1712)PDFファイル(905KB)
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概要
渦巻きポンプはプラント内で最も多い装置の代表であり、さまざまな流体輸送に用いられている。渦巻きポンプの所要動力はポンプ選定の重要な要素の一つであり、化学工学の教科書に計算方法が示されている。簡単な式ながら単位系が異なっていたり、前提が明示されていないなどの理由で必ずしも十分に理解されていない場合も多い。ここでは様々な所要動力の式を単位の変換という観点で説明する。さらに、所要動力の式の前提を考察することで送液の場面に応じてどのような計算が必要になるのかも解説する。(熊谷)
- 配管ラインの圧力バランス(1711)PDFファイル(692KB)
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概要
塔槽から別の塔槽に液を送る配管ラインでは、流量を調整するためにコントロールバルブが設けられている。コントロールバルブは弁開度を変えて流量を調整するが、配管ラインでは流量によってオリフィス流量計や熱交換器などの他の機器の圧力損失が変化するため、コントロールバルブと他の機器との圧力バランスで流量が決まることになる。本稿では典型的な配管ラインのモデルを考えて、圧力損失と流量やコントロールバルブの弁開度との関係を調べてみる。(横山)
- コントロールバルブの特性(1707)PDFファイル(623KB)
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概要
コントロールバルブは制御信号を得て弁開度を変えて、流量を調整するものである。そのサイジングはCv値、流量特性、レンジアビリティの3つの要素を考慮して決められる。流量特性はリニア特性とイコールパーセンテージ特性が代表的であり、弁開度に対するその特性は大きく異なる。本稿ではコントロールバルブとその設計について整理するとともに、リニア特性とイコールパーセンテージ特性について検討する。(横山)
- 遠心ポンプの理論揚程(1706)PDFファイル(532KB)
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概要
液体の輸送には一般にポンプが用いられるが、そのポンプには様々な型式・構造があり、目的・用途に応じた適切な選定と設計が必要である。
そのためには各ポンプの原理や特性を理解しておく必要があるが、本報では最も一般的である遠心ポンプについて、その原理と揚程の理論的算出に関してまとめる。(河合) - Water Hammerについて(1702)PDFファイル(620KB)
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概要
配管内を満液で流体が流れている場合、例えばバルブが急に閉鎖されるとバルブの上流側の圧力は急上昇する。これは流れの運動エネルギーが圧力エネルギーに変換されることに起因する。一方、バルブの下流では流れが供給されなくなるために圧力の低下現象が発生する。これを水柱分離と呼ぶが、圧力が低下した部分には流体が逆流してくるために流体同士の衝突が発生する。これらの現象はいずれもWater Hammer(水撃作用)と呼ばれ、激しい場合は設備損傷につながるために、設計時に十分な検討が必要である。本報ではWater Hammerの計算と対策について紹介する。(河合)
- 多段オリフィスの設計(1606)PDFファイル(515KB)
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概要
ポンプのミニフローライン等、配管内を流れる流体を減圧する場合、オリフィスを用いることが一般的である。オリフィスでの圧力損失が大きくない場合は、一段のオリフィスで問題が生じないことが多いが、高圧ポンプのミニフローラインの様に非常に大きな圧力損失を生じさせる場合は、キャビテーションによりオリフィスの下流部分で振動や騒音が発生する可能性があり、一般にはオリフィスを多段化することが多い。しかし、多段オリフィスの厳密な設計手法は確立されていないため実験や経験に基づくものが多く、本報ではその一例を紹介する。(河合)
- 配管内流速と圧力損失の関係(1510)PDFファイル(893KB)
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概要
プラント内の配管やポンプの設計においては、配管内の流体の圧力損失が重要なポイントとなる。直感的には、流速が早くなるほど圧力損失も増大するということがイメージできるが、実際に流速と圧力損失の定量的な関係を検討し、管内流速選定の重要性を明らかにする。(河合)
- 連続反応器が定常に達する時間(1108)PDFファイル(445KB)
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概要
連続反応器をスタートアップし、フィードや温度・圧力等の運転条件を一定にしていると出口の反応組成が変化して段々と定常状態に近づいていく。反応器内の流れがプラグフロー(ピストンフロー)である場合は、反応器の滞留時間だけ経過すると、出口は入口条件に対応した状態となる。一方、CSTRに代表される連続多段撹拌槽では、滞留時間分布のために、定常に達する時間は複雑である。ここでは、1段の連続撹拌槽型反応器について、定常状態に達する時間を反応速度との関連で考察する。(熊谷)
- 大型液化石油ガスタンクの特徴(1104)PDFファイル(543KB)
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概要
液化石油ガスの備蓄等で使用されるタンクは数万立方メートルの大規模なものが多い。規模が大きくなることで内部の状態が均一でなくなり、伝熱やガス置換操作等に注意を要する。ここでは、常圧で操作する液化石油ガスタンクのプロセス検討を行う上でいくつか留意すべき点を紹介する。(熊谷)
- 滞留時間分布関数とその応用(1102)PDFファイル(852KB)
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概要
攪拌槽についてのバッチ操作では、槽内のすべての物質は同じ時間だけ滞留する。一方、連続操作では滞留時間分布が存在し、反応、蒸発、晶析等の操作において、バッチ操作の場合と異なる結果を生じることになる。実験をバッチで行い、プラントを連続で設計・操作する場合は、滞留時間分布の影響に注意を払う必要がある。ここでは、滞留時間分布について基礎的な導出を考え、その応用として簡単な1次反応について考察する。(熊谷)
伝熱
- 多管式熱交換器簡易設計(2310)PDFファイル(2.52MB)
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概要
多管式熱交換の設計ではチューブ側を複数パスにすることが多い。この場合、高温側流体と低温側流体との温度差ΔTについて向流式熱交換器の対数平均温度差(ΔTlm)を基準として補正を行う方法がよく用いられている。熱交換器の設計や性能評価を実施する際、流体の出口温度が不明な場合がある。この場合、 ΔTlmを用いる方法ではSolver等を用いた収束計算が必要となる。ここでは、収束計算が不要なNTU法を用いた簡易な設計方法を紹介すると共に、収束計算を用いた場合の結果と比較を行う。(田口)
- スチームトレースの伝熱計算(2210)PDFファイル(869KB)
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概要
配管内を流れる流体の凝固防止や保温の目的で、電気ヒーターや熱媒による加熱保温が行われる。今回は、スチームトレースによる加熱保温の伝熱計算方法を紹介する。(大槻)
- バッチ操作における昇温・冷却 その2(1902)PDFファイル(607KB)
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概要
バッチプロセスにおいては槽内液の昇温や冷却操作は一般的に行われるものであるが、基本的に非定常状態であるためその現象をモデル化するに当たっては注意が必要である。この非定常伝熱プロセスは、装置構成と加熱(冷却)源によって様々なケースに区分される。(1)装置構成:ジャケット/コイル、外部循環 (2)加熱(冷却)源:温度一定(潜熱利用)、温度変化(顕熱利用)。前報では装置構成についてはジャケット付撹拌槽としたが、本報では外部循環形式とし、温度は一定/変化の両ケースについて述べることとする。(河合)
- 多管式熱交換器の形式と選定基準(1901)PDFファイル(533KB)
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概要
石油精製、石油化学、化学プラント内の装置設計において、経験と知識をより必要とする単位操作の一つが熱交換器である。 熱交換器設計の場合、構造の変更がプロセスの性能に大きな影響を与えるためである。ここでは、多管式熱交換器の構造と特徴をまとめると共に、形式の選定の基準について簡単に解説したい。(田口)
- バッチ操作における昇温・冷却(その1)(1810)PDFファイル(530KB)
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概要
バッチプロセスにおいては槽内液の昇温や冷却操作は一般的に行われるものであるが、基本的に非定常状態であるためその現象をモデル化するに当たっては注意が必要である。この非定常伝熱プロセスは、装置構成と加熱(冷却)源によって様々なケースに区分される。【1】装置構成:ジャケット/コイル、外部循環【2】加熱(冷却)源:温度一定(潜熱利用)、温度変化(顕熱利用)
本報では、装置構成についてはジャケット付撹拌槽とし、加熱源温度は一定/変化の両ケースについて述べることとする。(河合) - 保温材厚さについて(1710)PDFファイル(990KB)
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概要
保温材厚さについて
内容物が高温である場合、熱エネルギー損失の低減や運転の安定化、安全対策等のために機器や配管は保温材を用いた断熱工事が施工される。厳密には完全に断熱されるわけではなく、保温材の厚みにより熱損失量や保温材表面温度が異なるため、実際の断熱工事仕様の決定においては前提を明確にした上で最適な保温材厚みを求める必要がある。 本書では保温材厚みの算出方法の一例として、JIS-A9501(保温保冷工事施工標準)に規定されている内容を紹介する。(河合) - 流体の流れ方向による伝熱面積への影響(1605)PDFファイル(534KB)
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概要
最も単純な熱交換器である2重管を検討する際、各流体の流れを向流に設定することが多い。熱交換器中の有効温度差(ΔT : 平均温度差)は、向流の方が並流より大きな値となるため、伝熱面積を小さくできること、および温度交差(高温流体・低温流体の温度が出口で逆転している状態)を実現可能であることが主な理由である。ここでは、伝熱の基礎式を解析的に解き、流体の流れ方向が伝熱面積に与える影響について考察したい。(田口)
- 「1次元熱伝導方程式の解法(その2)」(1603)PDFファイル(834KB)
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概要
「1次元熱伝導方程式の解法(その1)」で、放物型の偏微分方程式である熱伝導方程式について、差分化して数値的に解く方法を紹介した。計算のツールとしてExcelを使ったが、本稿では積分機能をもつEQUATRANを使って解く方法を紹介する。また、前回の例題では、境界条件は温度が一定に保たれるという理想的な状態を扱ったが、現実の問題では対象物体と外界との間で伝熱が起こるので、その点を加味したモデルを考える。(横山)
- 1次元熱伝導方程式の解法 その1(1511)PDFファイル(532KB)
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概要
熱伝導方程式は時間変化を考えるため、1次元であれば2変数の偏微分方程式を解法する問題になる。この偏微分方程式は、拡散方程式など他の物理現象でも現れる普遍的な形をしている。偏微分方程式には放物型、双曲型、楕円型の3つタイプがあり、熱伝導や拡散の方程式は放物型にあたる。偏微分方程式を解析的に解くのは困難で、数値的に差分化して解く。今回はExcelで差分化して解く方法を紹介する。(横山)
- 出入口熱交換システムの考え方(1411)PDFファイル(1.13MB)
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概要
ある工程での操作温度が決まっている場合、フィードをその温度にするために工程出口の流体を用いてプロセス-プロセス熱交換を行うことが省エネルギーのために良く行われている。バイオ分野や食品分野では、殺菌のためにフィードを昇温しその後温度を下げる操作があり、精製処理のためにフィードの温度を下げてその後再度昇温する操作もある。石油化学分野でも反応の出入口熱交換をはじめとしてこのような操作はかなり多い。この場合の熱交換器は複数必要になるので、熱交換量の配分の考え方についてまとめた。(熊谷)
- 伝熱管材質と総括伝熱係数(1207)PDFファイル(491KB)
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概要
石油化学プラントにおいては、腐食性やプロセス上の要求がある場合を除いて、通常は装置材料としてCS(炭素鋼)を使用するのが一般的である。しかし実際の製造プラントにおいては当初の想定外の原因(エロージョン、外面腐食等)により、CS製の機器の材質を変更して更新しなければならなくなることがある。この場合、機器の設置場所の制約により同程度の大きさに制限される場合も多い。特に対象機器が熱交換器の場合は、その材質変更が設備能力に影響を及ぼすため詳細検討が必要になるが、あらかじめその影響の度合いの感度を知っておくことは重要である。(河合)
- 熱交換器の温度差に対する考察(1112)PDFファイル(1.66MB)
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概要
熱交換器の伝熱式として広く利用されている概算式は“Q = U*A*ΔT”である。伝熱式中の温度差(ΔT)については、対数平均温度(LMTD)の利用が一般であるが、LMTDの導出過程を考慮せず相変化を伴う系などに直接適用する例も見受けられる。ここでは、相変化がある系に対して、LMTDを適用した場合にどのような影響が出るかについて考察を行いたい。(田口)
- 総括伝熱係数に対する支配的因子の影響(1105)PDFファイル(634KB)
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概要
多管式熱交換器の設計では、市販ソフトウェアの充実により伝熱性能を満足した上で、コストが最小になる設計を容易に実現出来る環境が整いつつある。一方、厳密な計算を実行する前に、予めどの程度の大きさの熱交換器になるかを想定しておくことが重要である。ここでは、総括伝熱係数に対する支配的因子(境膜伝熱係数、汚れ抵抗(汚れ係数)等)の影響について確認する。(田口)
沈降・ろ過
吸収
- 水中で解離するガスの溶解度挙動(2009)PDFファイル(616KB)
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概要
水に溶けにくいガスであるO2, N2, H2, CH4などのガスの溶解度はガスの分圧に比例して大きくなるというヘンリーの法則が成り立つ。一方、水中で解離するガス(Cl2,SO2, NH3, HClなど)の溶解度は解離しない場合よりも大きくなることが知られている。これは、ガスの分圧と水中で未解離(分子状態)のガス分子濃度に平衡が成り立つため、解離した成分が溶解度として加わるためである。吸収操作を考える場合、水中で解離するガスは反応吸収となり、吸収量が増加する反面、扱いが複雑になる。このような場合、解離の影響が小さい時はヘンリーの法則が成り立つとして取り扱うことも多い。ここでは、解離するガスの例としてSO2の溶解度計算について紹介する。(熊谷)
抽出
- 抽出計算のためのタイライン相関(1608)PDFファイル(1.77MB)
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概要
液液抽出は、蒸留で分離しにくい成分の精製や高温で分解しやすい成分の精製に用いられる操作である。適切な抽剤を選ぶことで、バッチや連続多段操作により少量生産から大量生産まで対応できる。抽出塔の設計には液液平衡データが必要であり、典型的には3成分系(目的物質-除去したい物質-抽剤)の三角線図を用いた作図が良く行われる。抽出計算の精度には液液平衡の正確さが影響するが、多段操作の作図の場合には特にタイラインの内挿精度が問題となる。ここでは3成分系液液平衡データのタイライン相関の方法について紹介する。(熊谷)
- アルカリ存在下の有機酸の液液分配平衡(1111)PDFファイル(441KB)
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概要
油相に含まれている有機酸を水洗して除去する場合に、抽出効率を上げるためにアルカリ水溶液を用いる操作がある。アルカリ濃度ともに分配係数が向上するデータが得られたので、濃度と分配係数の関係について考察した。その結果、水相中の未解離の有機酸と油相中の有機酸の間の分配係数のみをフィッティングパラメータとすることで、水相中の有機酸の解離定数(既知)と水のイオン積(既知)から有機酸の分配係数を良好に相関できることがわかった。(熊谷)
- 平衡線図に対する“てこの原理”の活用(1107)PDFファイル(976KB)
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概要
2成分系の気液平衡線図、3成分系の三角線図を用いると、操作条件を決定すれば、平衡状態における各成分の組成を確認することが出来る。一方、これらの線図に対し、“タイライン”、及び“てこの原理”を活用すれば、平衡時の分配量についても大凡の値を把握することが出来る。ここでは、“てこの原理”を確認すると共に、抽出操作に活用する事例を紹介する。(田口)
その他
- 地球温暖化と脱炭素関連技術 2. エネルギー使用とCO2発生(2409)PDFファイル(3.22MB)
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概要
地球温暖化の原因となっているCO2は様々な循環ルートがあるが、人間の経済活動によって増加してきたCO2が最も重要な原因となっている。経済活動を支えているのはエネルギーであるが、今回はエネルギー使用由来のCO2発生について考える。(熊谷)
- 地球温暖化と脱炭素関連技術 1.背景と概観(2404)PDFファイル(5.09MB)
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概要
経済活動によって排出されるCO2が地球温暖化を促進し、砂漠化と海洋温度上昇による食糧生産と漁獲量の低下を招き、近い将来の人類の生存を脅かす事態となっている。この問題を解決するためには新しい技術のみならず生活パターンの変化も必要であることが指摘されている。また、生活を衣食住面で支えるには化学品が不可欠であり、大部分の化学品が炭素化合物であることからCO2の循環利用も同時に考える必要がある。これらの課題に対しては完成された技術はなく、現在進行形で開発検討が行われている。本シリーズでは化学技術面を中心とした脱炭素関連技術の紹介を行う。(熊谷)
- プラントコスト推算法の概説(2403)PDFファイル(2.13MB)
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概要
開発プロセスを実用化(パイロットから商業プラントへスケールアップ)する際、設備費用をイメージし、コストインパクトを把握したい。実用化手順は、概念設計→Feasibility Study(F/S)→基本設計(FEED)を経て課題抽出および対策後、最終実行案をエンジ会社に見積依頼する。 FEEDをエンジ会社に依頼する事例もあり、金額回答受領前に設備費を予測しておけば予算承認がスムーズとなり、結果として工事期間短縮(早めの市場展開)にもつながる。設備費用推算はエンジ会社が専門ではあるが、化学工学を駆使しスケールアップ検討する“プロセスエンジニア(PE)”においても、仕組みの理解が望ましく、今回概要を解説する。(築山)
- Pythonその4 常微分方程式編(2401)PDFファイル(2.87MB)
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概要
Pythonは、グイド・ヴァンロッサム氏が1990年に開発したプログラミング言語である。科学技術計算において、Pythonを利用する流れが急速に広まってきており、導入する企業、大学等の教育機関も増加している。 弊社ヒント集でも、化学工学計算での利用方法について解説していく。前回の“その1基本操作編”、“その2 Pythonの文法”、その3非線形連立方程式編に続き、今回は、常微分方程式の取り扱いについて解説する。(大槻)
- Pythonその3 非線形連立方程式編(2312)PDFファイル(4.08MB)
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概要
Pythonは、グイド・ヴァンロッサム氏が1990年に開発したプログラミング言語である。科学技術計算において、Pythonを利用する流れが急速に広まってきており、導入する企業、大学等の教育機関も増加している。弊社ヒント集でも、化学工学計算での利用方法について解説していく。前回の“その1基本操作編”、“その2 Pythonの文法”に続き、今回は、非線形連立方程式の取り扱いについて解説する。(大槻)
- データ補間法(その3) Excelによる折線補間(2309)PDFファイル(2.87MB)Excelファイル(87KB)
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概要
実測データを用いて、実測されていない点での値を計算することを補間と呼ぶ。補間には、対象データの傾向を近似式として表して計算を行う方法(近似式の作成)とすべての実測データを用いてデータ間を直線として計算を行う方法(線形補間)が考えられる。ここでは、Excelを用いて、xyデータのすべての点を折線化して線形補間をする方法を紹介する。(熊谷)
- Pythonその2 文法編(2307)PDFファイル(3.53MB)
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概要
Pythonは、グイド・ヴァンロッサム氏が1990年に開発したプログラミング言語である。科学技術計算において、Pythonを利用する流れが急速に広まってきており、導入する企業、大学等の教育機関も増加している。弊社ヒント集でも、化学工学計算での利用方法について解説していく。前回の“その1基本操作編”に続き、今回は“その2 Pythonの文法”について解説する。(大槻)
- Pythonその1 基本操作編(2306)PDFファイル(3.75MB)
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概要
Pythonは、グイド・ヴァンロッサム氏が1990年に開発したプログラミング言語である。開発に当たっては、文法が平易で習得しやすいこと、OSや開発環境に依存しないこと、オープンソースで誰もが利用できること、を重視された。その後、シンプルな言語として人気がでて、Web開発やデータ分析、人工知能などさまざまな分野で、多くのエンジニアが応用のためのライブラリーの開発を行い、多くの人に利用されている。科学技術計算においても、Pythonを利用する流れが急速に広まってきており、導入する企業、大学等の教育機関も増加している。化学、化学工学の分野で利用されている項目を紹介する。(大槻)
- スチームタービンによる発電量計算(2303)PDFファイル(2.70MB)
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概要
脱炭素社会への移行のためにより効率的なエネルギー使用が求められている。以前は、プラントにおける加熱はスチームで行い、モータなどの回転機器には電力会社からの受電という方式が多かったが、近年はプラント内にあるボイラースチームを利用してのスチームタービン発電が多くみられる。スチーム条件の変化などでの発電量計算などが必要になってくる場合も多いので、今回発電量計算について紹介する。(熊谷)
- Excelによる線型重回帰分析(2302)PDFファイル(2.16MB)
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概要
化学装置の性能は、複数の因子が関与することが多い。各因子の影響を把握して数式化するためには様々な方法がある。今回は、Excelの重回帰分析のツールを利用して数式化する方法を紹介する。(大槻)
- PID制御の動作(2301)PDFファイル(1.06MB)
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概要
化学プラントに代表される大規模プロセスは、運転を自動化するために自動制御が行われている。モデル予測制御などの高度制御の導入も行われているが、大部分はローカルループを使ったフィードバック制御が占めている。その制御方式はPID制御と呼ばれ、P(比例)動作、I(積分)動作、D(微分)動作の組み合わせとなっている。本稿では、この各動作の定性的な動きを紹介した上で、モデルを使ったケーススタディを行って、各動作がそれぞれどのような効果があるのか、各動作のパラメータの大小がどのように影響するのかを定量的に検討する。(横山)
- 不活性ガス添加による爆発防止(2212)PDFファイル(2.79MB)
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概要
可燃性ガスの気体、液体の蒸気、粉体といった可燃物が空気中に拡散している状況下で、着火源があれば爆発の危険性が生じる。爆発の防止対策では、@可燃物濃度を爆発組成域から外す、A着火源を与えないことがあげられるが、着火源の完全な除去は難しいため、通常は可燃物濃度の管理が行われている。本報では可燃物として可燃性ガス、または液体の蒸気を取り上げ、爆発の防止対策として広く利用されている不活性ガス添加による効果について考え方を整理したい。(田口)
- 統計的検定について(2211)PDFファイル(1.16MB)
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概要
製品の品質や収率を向上させるために操作条件を変えて結果を調べることはラボでもプラントでも良く行われている。ラボ実験の場合は、調べたい影響因子だけを変化させて他の条件を一定することで明確な結果を得やすい。一方、プラントにおいてはプラントに外乱があるためにいくつかの条件も同時に変化してしまうことが多く、結果の解釈が難しくなりがちである。統計的な検定は従来から用いられていて、有意な差があるのかどうかを判断する基準として使われて来たが、プラントデータはデータ数が多いこともあり必ずしも活用されているとはいえない。ここでは、Excelにある関数を利用した基本的な検定について紹介する。(熊谷)
- プロセスの物質収支計算 その3PDFファイル(843KB)
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概要
新規プロセス構築のプロセス検討や現有プロセスの解析では、物質収支による物の流れの把握が重要である。これまで「プロセスの物質収支計算 その1、その2」(ヒント集No.2109、2201)で、プロセスの物質収支問題への取り組み方とExcelを使った解法を紹介した。「その2」最後の例題はアンモニアプロセスであったが、アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないことから、次世代燃料として最近特に注目されるようになってきた。「その3」では、再びこのアンモニアプロセスにフォーカスして、Excelとは別の解き方を用いた解法をご紹介する。Excelの代わりに使うツールはEQUATRANである。なお、「その2」ではアンモニアプロセスの解法について、「このような物質収支問題をExcelで解法するのは収束の難しさから、プロセスのサイズやモデルの非線形性でこの程度のモデルが限界ではないかと思われる。」と記したが、実問題ではよりサイズの大きな問題を取り扱うこともある。そのようなケースでは、今回紹介するEQUATRANによる解法が有効である。(横山)
- VBA for Excel その4 VBA solverと微分方程式の連成(2202)PDFファイル(960KB)Excelファイル(148KB)
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概要
Microsoft社のExcelは、様々な工学計算に利用されている。数表に数字を入力し、計算式を組み込めば計算結果が出力される。また、グラフ機能を用いて、結果の図示化も容易である。そして、Excelでは、VBAの利用も可能となっている。Solverでの収束計算を繰り返す、積分計算、等、同じ操作を繰り返し実施する際は、VBAによるプログラム化が便利である。これまで、弊社ヒント集にて、“VBA入門” 、“常微分方程式”、 “VBAを利用したsolverのケーススタディ” を紹介した。今回は、Solverと常微分方程式を連成する方法について解説する。(大槻)
- プロセスの物質収支計算 その2(2201)PDFファイル(750KB)Excelファイル(65KB)
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概要
その1では、プロセスの物質収支問題をExcelで解法する手順を紹介した。手順の説明が目的であったので、分離器だけの比較的簡単なプロセスを取り扱った。ユニットが1つのプロセスと、合流点を含めてユニットが3つで、2成分系のリサイクルプロセスである。本稿はその1の続きとして、成分数が4成分あるいは5成分で、反応器を加えた、より実際的なプロセスの物質収支問題を試みる。反応では転化率で、分離では分離比で表現した簡便なケースと、反応は平衡反応式に置き換え、分離では気液平衡比を与えたより詳細なモデルを検討してみる。このような複雑になった物質収支問題を、Excelでどこまで解法できるかを試みる。(横山)
- VBA for Excel その3 VBAを利用したsolverのケーススタディ(2110)PDFファイル(1.29MB)Excelファイル1(42KB)Excelファイル2(73KB)
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概要
Microsoft社のExcelは、様々な工学計算に利用されている。数表に数字を入力し、計算式を組み込めば計算結果が出力される。また、グラフ機能を用いて、結果の図示化も容易である。そして、Excelでは、VBAの利用も可能となっている。Solverでの収束計算を繰り返す、積分計算、等、同じ操作を繰り返し実施する際は、VBAによるプログラム化が便利である。これまで、プロセス開発のヒント集にて、“VBA入門”にてVBAの基本的な使用方法、“常微分方程式 VBAでの数値積分”にてVBAによる数値積分の方法について紹介した。今回は、SolverをVBAに取り込み、ケーススタディーに利用する方法について解説する。(大槻)
- プロセスの物質収支計算 その1(2109)PDFファイル(743KB)Excelファイル(29KB)
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概要
プロセス設計の初期段階では、物質収支を考慮した制約式を満たす連立方程式を立式して、反応量、製品純度、製品収率、リサイクル量、パージ量などの検討が行われる。ユニット(装置)の数が1、2個で構造が簡単な場合には、立式して手計算で解法することも可能であるが、ユニットの数が多数になると連立方程式の数が大幅に増えて解くのは困難になる。このような場合にはExcelやEQUATRANなどのツールを使うと便利である。プロセス構造やフローが決まれば、プロセスシミュレータを使って熱収支も含めた詳細な計算を行うことになるが、プロセスを組み立てている間は、フローやリサイクルなどが変更されることが常で、詳細な計算による検討の前に、身近なツールで済ませたいところである。また、既設のプラントの解析で、物質収支だけを行って物の流れを把握したいというニーズもある。本稿では、Excelを使ってこのようなプロセスの物質収支問題を解法する手順を紹介する。(横山)
- VBA for Excel その2 常微分方程式 VBAでの数値積分(2106)PDFファイル(0.99MB)
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概要
Microsoft社のExcelは、様々な工学計算に利用されている。数表に数値を入力し、計算式を組み込めば計算結果が出力される。また、グラフ機能を用いて、結果の図示化も容易である。また、Excelに組み込まれているプログラムであるVBAを利用することで、繰り返し操作を自動化することができる。前回(2021/1月)、VBAの使用方法の入門編と、ケースステディ等の繰り返し操作の自動化の基本プログラムについて解説した。今回は、常微分方程式の数値積分について紹介する。(大槻)
- Excelソルバー使用上の注意点(2105)PDFファイル(834KB)
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概要
Excelのアドインであるソルバーは、化学工学計算で活躍する場面が多い。たとえば、順次計算して求める方法では困難な非線形な問題や、多くの変数からなる関係式を連立させて同時に解くような問題、実験データから理論式のパラメータを決定するような問題などの解法である。便利なツールではあるが正しい使い方をしないと、解が得られないケースが出てくる。本稿ではソルバーの考え方やオプションについて解説し、いくつかの例題を示して正しく使えるようなヒントを提供する。(横山)
- VBA for Excel その1 基礎編(2101)PDFファイル(1.11MB)
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概要
Microsoft社のExcelは、様々な工学計算に利用されている。数表に数値を入力し、計算式を組み込めば計算結果が出力される。また、グラフ機能を用いて、結果の図示化も容易である。ただし、数表に使用する式の数が多くなってくると、式と式の関係や全体像の把握が困難になり、数表作成時の誤りの検出や、数表の再利用で苦労するケースが見受けられる。このような場合、データの入出力は数表、数式の記述と計算はExcelに組み込まれているプログラムVBAを利用すると、整理しやすい。また、ケースステディ、Solverでの収束計算を繰り返す、積分計算、等、同じ操作を繰り返し実施する際は、VBAによるプログラム化が便利である。そこで、VBAの使用方法について紹介する。(大槻)
- データ補間法(その2)2次元補間(2004)PDFファイル(958KB)
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概要
実験データを利用して、測定の範囲内で測定されていない条件下での結果を予測する計算を内挿(補間)と呼び、理論式や近似曲線の利用を中心にヒント集1612で解説を行った。一方、データの精度が高い場合やデータ間の関係の理論式が不明な場合は、測定されたデータに誤差がないとしてデータ間を直線(線形)補間をする場合もある。ここではデータ間を線形補間をする手法について紹介する。(熊谷)
- 「データリコンシリエーション」(1811)PDFファイル(573KB)
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概要
プラント全体での原料原単位やエネルギー原単位の管理のために、物質収支計算や熱収支計算が行われる。また、最近では工程単位での操業管理による異常・変調の早期発見や運転最適化などのために、リアルタイムでの状態推定が求められるようになってきている。しかしながら、それらの収支計算は合わないことが通例である。計器の測定誤差や分析誤差、あるいは非定常性によるものである。整合性のとれた収支を得ることが重要であり、そのためにデータリコンシリエーションという考え方が使われる。本稿ではその基本的な考え方と考慮しておくべき点を整理し、検討例を紹介する。(横山)
- 「伝達関数の1次遅れ要素モデル」(1807)PDFファイル(755KB)
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概要
プロセスの制御系設計ではブロック線図を用いて検討が行われるが、そのモデルには物理モデルではなくブラックボックスモデルが使われる。これは対象の入出力間の関係を、得られたデータから同定してモデルを構築するものである。入力と出力の関係を表し、入力を出力に変換する関数のことを伝達関数と呼ぶが、プロセス特性を表すために1次遅れ、あるいは1次遅れ+むだ時間という伝達関数がよく使われる。本稿ではブラックボックスモデルの1次遅れ要素を紹介するとともに、物理モデルとして撹拌槽の濃度変化のモデルを対比して考えてみる。(横山)
- Excelを用いた技術計算(ソルバーと他手法の対比)(1806)PDFファイル(525KB)
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概要
技術計算においては、連立方程式を解くことや収束計算を実施することは数多く実施されるが、その場合Excelのソルバー機能を利用することが多い。特に複雑な収束計算等においてはソルバー機能は非常に強力であるが、一方比較的シンプルな計算においては他の手法の方が容易に解を求めることができることも多い。本報ではそのような手法を用いた計算例を紹介する。(河合)
- 設計圧力と設計温度(1802)PDFファイル(568KB)
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概要
プラント内の機器や配管は設計圧力・設計温度に基づいて強度計算を実施して詳細設計される。従って設備の安全確保のためには適切な設計条件を設定する必要がある。基本的に設計圧力・設計温度は運転圧力・運転温度を基準とするため、その運転条件の設定には操作面・安全面・品質面等、多面的な検討が必要である。しかも定常時だけでなく、スタート・ストップの非定常時や異常・トラブル時等も考慮しなければならない。本書では一般的な設計条件設定の考え方について紹介する。(河合)
- 2点境界値問題の解法について(1708)PDFファイル(1.01MB)
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概要
常微分方程式はプラント内の様々な現象を記述するために用いられているが、多くの場合数値的に解く必要がある。初期濃度と速度定数が既知の場合にその後の濃度の経時変化を計算する場合は、初期値問題と呼ばれている。一般的には、終端など初期値以外を指定する場合もあり、これらは境界値問題と呼ばれている。境界値問題は、初期条件を仮定し、数値積分を行って特定の点を条件に一致させる必要があるので繰り返しの積分が必要となる。2階以上の常微分方程式や多変数微分方程式の場合の、異なる2点を指定する問題(2点境界値問題)について解法を紹介する。(熊谷)
- 緩衝溶液のpH計算 その2(1704)PDFファイル(730KB)
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概要
pHは水溶液内のイオン状態の特徴を表す重要な因子であり、サンプリングした溶液をガラス電極で測定することが良く行われている。近年では、プラントにおいて常時監視が必要な場合でも計測が可能となっている。一方、研究開発等では、溶液組成からpHを計算することが出来れば検討効率を高めることが出来る場合も多い。前報(1508)に引き続き、ここでは多価イオンが関係する緩衝溶液について計算方法を紹介するとともに解離状態の考察を行う。(熊谷)
- 2変量回帰と相関係数(1701)PDFファイル(652KB)
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概要
実験データの相関式を作成する際、Excelの近似曲線がよく利用されている。近似曲線を用いれば容易に相関式を作成することができる。また、相関係数(R)を確認することで、変数間の相関の強弱を理解することができる。ここでは、相関係数の定義を確認すると共に、Excelに組込まれている関数との関係について整理したい。(田口)
- 補間法による実験式の作り方(1612)PDFファイル(1.25MB)
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概要
実験データを利用して、測定した条件とは異なる条件での挙動を推定したいことがしばしば起こる。推定したい点が測定された条件の範囲内である場合を内挿(補間)と呼び、測定範囲外の挙動の推定を行う場合を外挿と呼ぶ。外挿は理論的な式に基づいて行われることが多いが、補間には従来から様々な方法が用いられて来た。ここではExcelの機能を利用して独立変数が2つ以上の場合の補間方法を紹介する。(熊谷)
- 緩衝溶液のpH計算 その1(1508)PDFファイル(903KB)
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概要
化学プラントでは毒性がない安価な溶媒として水を用いることが良くある。水は工業用水(河川水をろ過処理したもの)、純水、スチームドレン回収水などさまざまな種類が用いられるのでその中の不純物には注意を払う必要がある。生化学反応用の溶媒、排水処理の対象溶液、食品保存溶媒としての水の特性の一つにpHがある。pHの計算は存在するイオンにより決まる水素イオン濃度であるが、他のイオンが加えられてもpHが変化しにくい緩衝溶液は、系のpHを安定化させるという点で非常に重要な役割を持っている。ここでは緩衝溶液のpH計算方法について解説する。(熊谷)
- 概略設計指針の紹介(4)−圧力容器類−(1507)PDFファイル(679KB)
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概要
化学プラントの設計は、理論やデータに基づいて厳密に実施されなければならないが、F/Sやプロセスの方向性を定めるような初期検討の段階では精度よりも迅速性が求められることから、簡易な概略計算手法や常識的な設計値というものが非常に有効である。このような手法や設計値は“Conceptual Process Design”、あるいは“Rules of Thumb”などと呼ばれ、個人や会社レベルで蓄積されていたり、文書として公開されていることが多い。本報では“Rules of Thumb : Selecting and Designing Equipment” S. M. Walas (Chemical Engineering, March 16, 1987)をベースに、Rules of Thumbの紹介と便覧等の記載内容との比較を行う。(第4報:圧力容器類)(河合)
- 概略設計指針の紹介(3)−固体ハンドリング−(1504)PDFファイル(1.04MB)
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概要
化学プラントの設計は、理論やデータに基づいて厳密に実施されなければならないが、F/Sやプロセスの方向性を定めるような初期検討の段階では精度よりも迅速性が求められることから、簡易な概略計算手法や常識的な設計値というものが非常に有効である。このような手法や設計値は“Conceptual Process Design”、あるいは“Rules of Thumb”などと呼ばれ、個人や会社レベルで蓄積されていたり、文書として公開されていることが多い。本報では“Rules of Thumb : Selecting and Designing Equipment” S. M. Walas (Chemical Engineering, March 16, 1987)をベースに、Rules of Thumbの紹介と便覧等の記載内容との比較を行う。(第3報:固体ハンドリング)(河合)
- ピンチテクノロジー“熱交換ネットワーク”(1503)PDFファイル(619KB)
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概要
ヒント集1408「ピンチテクノロジー」では、ピンチテクノロジーの概念、およびTargetingの考え方を中心に紹介した。Targetingによる省エネルギー目標が決まれば、熱交換ネットワークの構築を行うことになるが、簡単なルールに従って構築を行うことで容易に達成可能となる。ここでは、ネットワーク構築のルールを説明すると共に、ヒント集1408で用いた例題を用いて、適用方法を簡単に紹介したい。(田口)
- 概略設計指針の紹介(2)−蒸留塔・熱交換器−(1501)PDFファイル(492KB)
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概要
化学プラントの設計は、理論やデータに基づいて厳密に実施されなければならないが、F/Sやプロセスの方向性を定めるような初期検討の段階では精度よりも迅速性が求められることから、簡易な概略計算手法や常識的な設計値というものが非常に有効である。このような手法や設計値は“Conceptual Process Design”、あるいは“Rules of Thumb”などと呼ばれ、個人や会社レベルで蓄積されていたり、文書として公開されていることが多い。本報では“Rules of Thumb : Selecting and Designing Equipment” S. M. Walas (Chemical Engineering, March 16, P.75〜81、1987)をベースに、Rules of Thumbの紹介と便覧等の記載内容との比較を行う。(第2報:蒸留塔及び熱交換器)(河合)
- 概略設計指針の紹介(1)−回転機−(1410)PDFファイル(592KB)
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概要
化学プラントの設計は、理論やデータに基づいて厳密に実施されなければならないが、F/Sやプロセスの方向性を定めるような初期検討の段階では精度よりも迅速性が求められることから、簡易な概略計算手法や常識的な設計値というものが非常に有効である。このような手法や設計値は“Conceptual Process Design”、あるいは“Rules of Thumb”などと呼ばれ、個人や会社レベルで蓄積されていたり、文書として公開されていることが多い。本報では“Rules of Thumb : Selecting and Designing Equipment” S. M. Walas (Chemical Engineering, March 16, P.75〜81、1987)をベースに、Rules of Thumbの紹介と便覧等の記載内容との比較を行う。(河合)
- ピンチテクノロジー(1408)PDFファイル(1.26MB)
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概要
1970年代後半の第2次オイルショックを機に省エネルギー技術が大きく進歩し、システマティックに熱の有効利用を図るピンチテクノロジー技術が誕生した。ピンチテクノロジーを用いた省エネルギー検討は、石油精製、エチレンプラントなどエネルギー消費の大きいプロセスを中心に数多く実施されてきたが、近年のエネルギーコストの急激な上昇や炭酸ガス排出削減等の対策により、同技術が改めて見直されつつある。ここでは、ピンチテクノロジー技術の基本的な考え方を簡単に紹介したい。(田口)
- プラントデータの新しい解析手法(1402)PDFファイル(802KB)
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概要
実験データやプラントデータの解析のためには、モデリングや多変量解析などの手法が広く利用されている。しかしながらDCSなどで取られた大量のデータでは時間的変動要因も増え、多くの因子の影響があるために、相関関係を明確に特定できない場合も多い。このような場合には、データを「異常か正常か」などの観点からいくつかのレベルに指数化して、指数間の関係を調べることが有効である場合が多い。この手法(累積異常解析)を紹介する。(熊谷)
- コントロールバルブ内のキャビテーションについて(1307)PDFファイル(765KB)
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概要
プラント内の流量や温度・圧力等の様々な制御にはコントロール弁を使用するのが一般的である。コントロール弁は内部で流路を絞ることで通過する流量を制御するが、当然圧力損失が生じるために流体自体の圧力が低下する。流体が液体の場合、条件によってはこの圧力低下により飽和蒸気圧を下回り、バルブ内で気泡が発生する可能性がある。絞り部を通過した流体は圧力を回復するが、それに伴い発生した気泡は潰れる。この時に大きな力が発生し、バルブの摩耗や破損等の悪影響を及ぼす。この現象がキャビテーションであり、コントロール弁設計の重要なポイントとなるため、その考え方を整理した。(河合)
- データのばらつきと工程能力指数(1106)PDFファイル(976KB)
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概要
実験データやプラントの計測値は、同じと思われる条件下であっても値に分布がある(ばらつきがある)。分布の原因を究明することは、現象のメカニズムを理解することにも通じるが、まず最初にどのような分布を示しているかを図示することが有用である。ここでは、実際のデータの分布の図示方法と工程管理で良く用いられている工程能力指数について紹介する。(熊谷)
- バッチと連続操作の差 (1002)PDFファイル(549KB)
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概要
バッチ操作か連続操作かについては生産量に応じて選択される場合が多いが、単位操作によっては装置の性能が異なってくることもある。ラボ実験をバッチで行い、プラントは連続にする場合には、バッチで得られた結果は連続にした場合にどのように変わるのかという点を十分に考える必要がある。
本稿では、バッチと連続操作で結果が異なることの多い、反応と蒸発操作を取り上げて考察を行う。(熊谷) - 漸化式とリサイクル計算(0910)PDFファイル(424KB)
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概要
ファインケミカル等のバッチプロセスでは、未反応原料、溶媒、晶析ろ液等を回収して、次バッチにリサイクル使用する例が多い。その際にリサイクル回数に応じてプロセス変数がどのように変化して行くかを記述すると漸化式が得られる。ここでは数値計算ソフトウェアを用いた漸化式の解法について紹介する。(熊谷)